8年前の熊本地震で家は半壊 ミス・インターナショナル日本代表の植田明依「復興は長期的な目で」

2024ミス・インターナショナル日本代表の植田明依さんは、8年前の熊本地震で被災した経験があります。被災地への思いや今秋に控えた世界大会への意気込みについて伺いました。(全2回中の2回)

災害のたびに被災の経験を思い出して

── 元日に能登半島で震災が起きましたが、植田さんは8年前に起きた熊本地震で被災した経験があるそうですね。

植田さん:余震も続いているので、みなさん心休まらない日々を過ごされているんだろうと思っていました。熊本地震の際は高校3年生で、部活から帰ってきて夕飯を食べている時に揺れが起きました。

植田明依さん観光名所の熊本城も石垣などに地震の被害があった

実家の庭が液状化して、家も半壊しました。床が斜めになりビー玉が転がるくらい傾いていたんです。その後は車中泊をしたり、親戚の家で過ごしたり。地震が来たらすぐに逃げられるように玄関で寝ていたこともありました。津波警報が出ると、車で高台に避難して。常に飲み水や貴重品をショルダーバッグに入れて身につけて、地震が来たらすぐに逃げるのを繰り返していました。断水も続いていました。

── 日本は災害が多いですよね。

植田さん:熊本も、地震だけではなく豪雨災害などもあります。知人の家が豪雨で家屋全体が浸水してしまったこともありました。どこかで災害が起きるたびに被災した経験を思い出します。

被災地にいると、忘れられている気がするんです。避難している側の状況は変わらないけれど、ニュースやSNSでも、日を追うごとに話題が減ってくるのを見ながら、「こちらはまだ大変なんだけどな」と思いながら過ごしていた時期もありました。復興に関しては長期的な目で考えていかなくてはならないと思っています。

熊本地震のあとは、兄が出ているJリーグの試合を見るのが家族の唯一の楽しみでした。置かれた状況を忘れられる瞬間でもあり、心の支えでもありました。本震が起きた日は試合があり、その翌日に兄がチームメイトと一緒に支援物資を持ってきてくれたときはとても勇気づけられました。私も自分に何かできることはないかなと思いながら過ごしています。

プロサッカー選手の兄の存在

── Jリーグの鹿島アントラーズに所属するお兄さんの植田直通選手は日本代表としても活躍されました。

植田さん:兄は高校生から寮に入って実家を離れていました。そのままプロとしてデビューし、国内チームに所属したあと海外チームに移籍したので、その間はあまり会えていなかったのですが、日本に帰国してから交流が増えたと思います。連絡もそうですし、直接会う頻度も増えました。大人になってより仲良くなった感じがします。

── ご家族はみなさんスポーツをしているんですか。

植田さん:父はなんでもできるのですが、特に長距離や野球で、母はバレー、姉がハンドボール、祖父が駅伝をしていました。田舎なので、遊びといえば走るとか、木登り。小さい頃から自然と体を動かして育ってきました。私も小学生の頃からバスケットボールを始めました。

植田明依さん熊本県宇城市で世界遺産に登録されている「三角西港」を設計したオランダ人技師に扮したくまモンと植田さん

── ご家族はどんな存在ですか。

植田さん:大会に挑戦するというのはメンタルの維持や準備も含めて大変なところは多いのですが、家族には普段のままでいてもらえることがありがたいです。自宅ではくつろげる空間を作ってくれていますし、姉も以前、コンテストに挑戦したことがあったのでフォローしてくれるところも多いです。ドレスはこっちがいいかなとか、具体的なアドバイスは助かりました。

── 今年の秋にミス・インターナショナルの世界大会を控えていますが、先にお兄さんは世界を舞台に戦っていますね。参考にしているところはありますか。

植田さん:頑張っている兄の姿を見て、食生活の面からサポートしたいという思いもあって管理栄養士の資格を取りました。国家試験に合格した際に、「応援してもらったから無事に合格できたよ」と兄に報告したら、「俺のおかげじゃなくて、自分の努力だよ」と言われました。周りへの感謝はもちろん大切なことなのですが、道を切り開くためには自分の努力が必要なんだと改めて思いました。兄のこういう姿勢を見習っていきたいです。

植田明依さん

今は技術的なところで、毎週レッスンを受けてウォーキングを頑張っています。ミス・インターナショナルとしてイメージされる理想の姿に近づけるために勉強しているのですが、同時に自分はどんな人でありたいかも考えています。理想の姿を追い求めながら、自分の軸は持っていたいと思っています。

尊敬する方から、「365日、24時間、360度、いつどこから誰に見られても同じ人でありなさい」と言われていて、それができるように頑張っているところです。

世界大会を前に

── 2024ミス・インターナショナル日本代表に選ばれる前に、2023年のミス・クマモトとしても活躍されていますが、地元の熊本県の魅力はどんなところでしょうか。

植田さん:生まれも育ちも、大学も就職も地元の熊本で、家族と一緒にずっと過ごしてきました。自然が豊かなところが本当に大好きです。阿蘇と天草という2大観光地があり、海も山もあって水も空気も綺麗です。

人のあたたかさも魅力のひとつです。みなさん、すれ違ったら声をかけあっていますし、実家でも近所の方から採れたお野菜をいただくことも多いです。地元ではたくさんの方がお会いするたびにおめでとうと言ってくださって、お花を贈っていただいたり、横断幕を出していただいたりしました。熊本の自然と人が大好きなところです。

── 世界大会への意気込みを教えてください。

植田さん:大会に挑戦できなかった方もいますし、ファイナリストのみなさんを代表するという意味でも、相応しい人物になれるようにと考えています。人に認められて、自分でも認めてあげるような努力と準備をしていかねばと思っています。

植田明依さん2024ミス・インターナショナル日本大会で着物審査の際の植田さん

先日も、日本文化や歴史について学ぶ機会があったのですが、博物館を訪れたり、江戸切子を作っている様子の見学をしたりしました。改めて日本史や世界史について学び直す必要もあると思いましたし、熊本はもちろん、全国の観光地についても詳しく説明できるように勉強しようと思っています。外国人観光客の方も増えていますが、日本の文化は海外の方に魅力を感じていただけるところが多いので、お着物を着ることなどもそうですが、自分で体現しながらその良さについても伝えていけたらいいなと思います。

PROFILE 植田明依さん

2024ミス・インターナショナル日本代表。1998年生まれ、25歳。熊本県宇土市出身。現在は家庭科非常勤講師として熊本県内の私立高校に勤めながら、モデルとしても活動。趣味はスポーツ観戦・旅行・器集め。

取材・文/内橋明日香 写真提供/植田明依

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