10代の頃からファッションモデルやタレントとして活躍してきたpecoさん。子どもの頃から強いこだわりを持っていたファッションのこと、ママになった今も変わらないことを聞かせてくれました。(全4回中の1回)
「かわいい私を見て」中学時代から毎日ブログでファッションを発信
── モデルデビューのきっかけを教えてください。
pecoさん:私の場合は、完全にSNSから始まりました。もともとファッションが大好きで、中学2、3年生からブログを毎日書き続けていたんです。息子を妊娠していた22歳まで、365日欠かさずに、ファッションのことをたくさん書いていました。そのうち、X(旧Twitter)やInstagramを見てくださる方がどんどん増えて。
私はとにかく原宿に行きたくて、18歳の頃に大阪から上京したのですが、SNSのフォロワーが多いと注目されて、少しずつ雑誌のスナップ撮影、その後はメディア出演にも呼んでいただけるようになりました。
── 当時からとにかくかわいかったです。
pecoさん:ありがとうございます(笑)。ブログやSNSに自分のファッションを載せるのはほぼ自己満足だったし、今でもそうなんですけど、ただただ「かわいい私を見て」っていう気持ちだったんですよね。
というのも、3歳とか4歳くらいのときからずっと、まわりとおんなじ格好をすることが何よりも苦痛で。
5歳の頃のpecoさん
小学校のときも、仲のいい女の子のお友だちと文房具をおそろいにしたり、図工の時間に「ひとつのテーマで絵を描きましょう」と先生から言われて「一緒にネコを描こう」となったり…そういうのが本当に嫌だったんです。「なんで一緒にするの?」って。
お年頃の女の子ってだいたい同じ道を通るのかなと思うのですが、私は同じファッションで外を歩くなんて絶対に嫌で、中学校に入ってからも、みんなと同じ表現をするという感覚が耐えられませんでした。
5歳の頃のpecoさん。ヒョウ柄とハッピーな柄のジーンズを合わせるほどのおしゃれ上級者!
とにかく「自分だけが違っていたい」とずっと思っていました。だから、逆に私と似た格好をしている人がいなくて、地元の駅とかで電車を待っていてもジロジロ見られるんですよ。でも、まったく嫌じゃなくて、むしろ快感!みたいな。「ほら、かわいいでしょ?」っていつも思っていたんです。
ただ、「同じような感覚の人ってほかにはいないのかな」と、あきらめのようなものは感じていたんだと思います。
高校3年生の頃のpecoさん。SNSでは、pecoさんのファッションスタイルが人気を集めていた
でも、SNSでファッションを載せていったことで、「私と同じ感覚の人がいる!」ってすごくわかって。それで「原宿に行きたい」って思ったのですが、原宿に初めて降り立ったときは、「ここは、私がいるべき場所だ」ってすごく思いました。
その後、自分の大好きなファッションを「素敵だね」ってたくさんの方に言っていただいたり、お仕事になったりして、「なんて幸せなことなんだろう」と思います。
18歳で上京。初めて原宿に行ったとき、「ここが私のいるべき場所だ!」と直感したそう
妊娠がわかったときはめちゃくちゃうれしかった
── モデルをしながらバラエティ番組などでも人気が出て、ryuchellさんとご結婚後、ご出産されました。ご妊娠がわかったときのお気持ちは覚えていますか?
pecoさん:ryuchellと結婚して家族になれたとき、「これからまた家族が増えるのかな」とすごくふたりで楽しみに感じていたので、妊娠がわかったときは「私がママになるんだ!」とめちゃくちゃうれしかったし、驚きもありました。
私は正直、子どもがあまり好きじゃなかったんです。兄は11歳年上で、姉は6歳年上と、歳の離れた末っ子で甘やかされて育ってきて。自分よりも年下の子がいる環境じゃなかったので、年下の子も苦手だし、子どもとどう接していいかまったくわかりませんでした。
でも、ryuchellと出会って、「ryuchellとの子どもは絶対に愛おしいな」って思えて、ふたりで「絶対にいつか子どもが欲しい」とよく話していて。
ryuchellとだったらきっと「ママとパパになれる」と思えました。実際に、息子がおなかにきてくれて、出産したときも自然と「ママになるんだ」と思えて、不思議な感覚でした。「ママにならなきゃ」ではなくて、「ママだなって」って。すごいな出産は、って思いました。
今でも忘れられない「ママになれてよかった」と思えた瞬間
──「ママになれてよかった」と思った出来事などはありますか?
pecoさん:すごく覚えているのが、生後4、5か月くらいのときのこと。初めてお仕事で息子と4時間くらい離れたのですが、お仕事が終わって控室に戻ったら、息子が私を見つけた瞬間に、「あーーっ!」って叫びながら一瞬でとびきりの笑顔になったんです。あのときは本当に「ママになれてよかったなあ」って思いました。
うちは母が完全な専業主婦で、家に帰ってきたときや自分が母を求めたときは、「絶対にお母さんがいてくれる」という環境で育ったんです。「私もそういうふうに育てたいな」とずっと思っていて。「ママだからそうしなきゃいけない」「パパは外で働かなきゃいけない」という考えではまったくなくて、たまたま私は、出産したらお仕事よりもママであることを優先したかったし、ryuchellは「お仕事を頑張りたい」って思ってくれていたので。
愛犬アリソンとの散歩も、pecoさんとお子さんにとって大切な時間
産後、たまにお仕事をさせていただくことがあったのですが、1歳になるまで完全母乳だったので、最初のうちはお仕事に一緒に連れて行かせてもらっていました。合間に授乳をしつつ、大阪から母を呼んで息子を見てもらっていたのですが、私を見つけたときの息子のあの顔といったらもう…。0から100になったみたいに瞬間で輝く笑顔を見せてくれたのが、本当にかわいくてかわいくて(笑)。
── 息子さんのかわいい笑顔とpecoさんのうれしそうな表情が思い浮かぶようです。
pecoさん:近頃は5歳になりスクールに通っていることもあって、私と何時間かぶりに会っても「やっほー」って感じになりましたけど(笑)。それでもやっぱり、私を求めてくれる瞬間は、今でもめちゃくちゃあるし、「ママがいい」って言ってくれるとすごくうれしいです。
PROFILE pecoさん
タレント・ブランドプロデューサー。大阪府出身。10代から80年代頃のアメリカンカルチャーを取り入れたファッションで注目を集める。SNSのフォロワーは、Instagramは250万人以上、X(旧Twitter)は90万人以上。2月1日には、初めてのエッセイ『My Life』(祥伝社)を発売した。
取材・文/高梨真紀 画像提供/peco