NHK連続テレビ小説「ブギウギ」の第92話が12日、放送され、劇中に主人公の幼なじみ、タイ子(藤間爽子)が登場。病に伏す姿に視聴者から悲痛な声が寄せられ、この日、X(旧ツイッター)で「タイ子ちゃん」がトレンド入りした。
戦後の大スターで「ブギの女王」として人気を博した歌手、笠置シヅ子さんをモデルに、趣里演じる主人公、福来スズ子が多くの困難を乗り越えて歌手の道を突き進み、人々に勇気と希望を与えていく姿を描く「ブギウギ」。この日からドラマは第20週「ワテかて必死や」(第92〜96話)に入り、新曲「東京ブギウギ」が大ヒットし、「ブギの女王」として人気者になったスズ子が、この日も靴磨き少年、達彦(蒼昴)と出くわした。
スズ子はマネージャーの山下達夫(近藤芳正)と帰宅途中で、山下が運悪く水たまりに足を踏み入れ、履いていた靴が泥だらけになってしまった。そのタイミングで達彦が2人の前に現れ、靴を磨かないかと声をかけた。山下は、朝、同じ場所を通った時は水たまりはなく、この日は雨も降っていないと強調。仕事欲しさに達彦が水たまりを作ったのではないかと怪しんだ。達彦は一度は否定したが、スズ子に「インチキかいな。あっははは! よう考えたなあ」と笑われると、「しかたねえだろ」と観念。「母ちゃんは病気で寝てる…俺が稼がなきゃならねえんだよ」と認め、下を向いた。達彦の言葉に表情を曇らせたスズ子は、自分の靴も磨くよう頼んだが、山下は、母が病気という話も噓ではないかと疑った。達彦は「バレちゃしょうがねえや! あ〜あいいことひらめいたと思ったのによ」と言ってその場を後にした。山下は「坊主!商売はまっとうにやらなあかんぞ! インチキして稼いだ金なんぞ身につかん」と説教。達彦は「偉そうに。お説教なんか聞きたかねえや。フン!」と憎まれ口をたたいた。
逃げるように達彦が家に戻ると、咳き込みながら寝込むタイ子の姿があった。達彦はこの日の客が渋く、あまり稼げなかったと反省。タイ子は体を少し起こして「ごめんはお母ちゃんのほう。こんな体で達彦には苦労かけて…」と詫びた。達彦は、タイ子の病気が良くなるまでは自分が働くと気遣い、「東京ブギウギ」を口ずさみながら食事の準備を始めた。するとタイ子は「達彦、それやめて!」と声を荒げ、「ごめん…。お母ちゃんその歌嫌いなの」と悲しそうな表情を浮かべた。
タイ子はスズ子の幼なじみ。子供のころから仲が良く、なんでも相談できる間柄だった。スズ子が音楽の道に進むことを決めるキッカケを作った1人で、スズ子が最初に憧れる花咲少女歌劇団の存在を教えたのもタイ子。スズ子はその後、大阪・梅丸少女歌劇団(USK)に入団し、タイ子は芸者になった。2人は、スズ子の母、花田ツヤ(水川あさみ)の葬儀で再会、そのときタイ子は妊娠していることを教え、夫が東京の人で、いずれ自分も上京するとスズ子に伝えていた。
久々の登場も、かつての面影がない幼なじみの姿を多くの視聴者が心配。SNSには「やっと出てきたと思ったら、病気で伏せってる」「旦那さんと東京行くっていってたのに、何があったの?」「何とも辛そうな状況」などの書き込みが寄せられた。また、タイ子と達彦が親子とわかり、「タイ子ちゃんが靴磨きの少年の母だった」「ほらぁやっぱり!」「息子だったー」といった反応も目立った。
一方、タイ子が「東京ブギウギ」が嫌いだと発言したことについては「あれだけ仲が良かったのに切ない」「天と地の差を感じてしまっているのかな」「幼なじみがスターになっていることが辛いんだな」「明るい歌が元気になるより余計に辛くなっている」などのコメントが寄せられた。