昨年10月期に日本テレビ系で放送された漫画「セクシー田中さん」の原作者で漫画家の芦原妃名子さん(享年50)が先月29日、栃木県内で死亡しているのが発見された。26日に更新した自身のX(旧ツイッター)で、脚本をめぐり局側と折り合いがつかず、自らが9、10話の脚本を書くことになった経緯を説明。当初提示していた「漫画に忠実に描く」などの条件がほごになっていたと明かしていた。
この問題を受け、原作の映像化などについて、ファンはもちろん、漫画家や小説家、脚本家、元テレビマンらが様々な立場や経験からSNSなどで議論に発展している。
脚本を書いた舞台から映画化された「12人の優しい日本人」や、脚本を担当したドラマ「王様のレストラン」など、数々の作品が映像作品化されている三谷氏。「僕はオリジナルの脚本を書くことの方が多いので、脚色ってあんまりやってない」と明かした。
英作家アガサ・クリスティーの作品を原作としたスペシャルドラマの脚本を過去に担当した経験を語った。「僕はクリスティーの原作通りにやろうと心掛けて、うまくいったんです。なぜかというと、3時間のスペシャルドラマにちょうどいい分量なんです」。原作の分量と、3時間という尺が一致し、バランス良く仕上がったという。
その前提をもとに、原作ものの映像化による問題について語った。「これを連続ドラマで“1クールやってください。11回やって下さい”となると、ふくらまさなきゃいけなくなる。“1時間のドラマにして下さい”って言われたら、削らなきゃいけない」と、起こり得るケースを指摘。「それって難しい問題で、もともと小説であろうが、漫画もそうですけど、映像化する時って、時間というものが出てきて、映像は時間芸術なんです。上演時間、上映時間が決められているんです。小説も漫画もそうじゃないから、自分の好きな時間をかけて読むことができるから、それをある一定の時間に収めなきゃいけないとなった時、絶対そこに無理が出てくる。そもそも無理が出るものなんです」と解説した。
その上で、「だから原作者の方は、映像化するのを許可する時には、そこを理解しておかなきゃいけない」と自身の考えを口にした。「特に漫画というのは難しいと思って、カット割もしてあるし、小説より具体的に描いてあるから、それを映像化する時に、絶対みんなが満足できるものなんてできるわけがないじゃないですか?それを分かって映像化の権利を渡すというの?それを踏まえなきゃいけないし、それが嫌だったら映像化させないくらいの気持ちでいて欲しいなと思う」と話した。
一方、脚本家に対しても願いを語った。「その上で脚本家は、できる限り原作者の思いをくんで(欲しい)。世界観は原作者が考えたものだから、それを逸脱してはいけないと思う。だから脚色って本当に難しくて、僕はできない、得意ではない方なんだけど」。また「アカデミー賞だって脚本賞と脚色賞が分かれているんですけど、それくらい違う物なんですよ、オリジナル脚本と脚色は」と説明。「脚本というのは難しい。でもそれをやろうとしている人がいる。その人たちの思いもあって、原作者の思いもあって、それをうまくすり合わせていくのがプロデューサーの仕事だと思う。原作者、プロデューサー、脚本家がきちんと心を一つにして作っていかないと、いろんな問題が起こるんだなと思いますね」と話した。