ソン・ガンホさんに最優秀男優賞、是枝裕和監督「この作品にとって最高のゴール」

ソン・ガンホさんに最優秀男優賞、是枝裕和監督「この作品にとって最高のゴール」

28日の授賞式で、最優秀男優賞を受賞したソン・ガンホさん(中央)を祝福する是枝裕和監督(左)と俳優のカン・ドンウォンさん(右)=AP 【読売新聞社】

(読売新聞)

 第75回カンヌ国際映画祭で28日夜(日本時間29日未明)、コンペティション部門出品作「ベイビー・ブローカー」に主演したソン・ガンホさんが最優秀男優賞を受賞したことを受け、同作の是枝裕和監督は、現地で日本メディアの取材に対応した。

 是枝監督は、「自分がほめられると疑ってかかりますけれど、役者がほめられる時は本当にうれしいです」と笑いながら、ソンさんの受賞は「この作品にとっての最高のゴール、美しいゴール」だと話した。「彼がこの作品のキモだったし、ムードメーカーだったし、チームリーダーだったし、こういう形で評価されたのは何よりでした」

 是枝監督作品の出演者が同賞に輝くのは、2004年に「誰も知らない」で柳楽優弥さんが受賞して以来、2度目。

 俳優に賞をもたらす「いい演技」をさせる秘訣ひけつを質問されると、「いい演技をさせるという感じではないんですが……」と前置きした上で、今作の撮影中、日々、ソンさんとやり取りを重ねていたと明かした。「僕も彼の演技を見ながら脚本を現場で直していく。編集を彼が見て意見が戻ってくる。そういうフィードバックが撮影の裏で毎日あった」という。「そのことが僕にとって判断の基準になりましたし、そういう信頼関係の中で進められた。結果的に作品の中に残っている彼の芝居の質も上げたと思いますし、僕が何か引き出したというよりは、そういうことなんじゃないかなと」

 是枝監督は、「万引き家族」(18年)でカンヌの最高賞パルムドールを受賞した後、フランスでカトリーヌ・ドヌーブさん主演の「真実」、そして韓国でソンさん主演の本作を撮った。「もう少し自分でやれたことと、やれていないことをチェックしないと、『言葉のわからない国で撮っても大丈夫だよ』と本当に自分で言えるかはまだわからないです」

 ハリウッドで撮る可能性を尋ねられると、「ハリウッドというと大きくなってしまいますが、英語圏で撮ってみたいというのはあるので、いつになるかわかりませんけど今回の総括が済んだら考えてみようと思います」。その理由は「撮りたい役者がいるからです!」

 次に是枝映画で輝くのは誰なのか。現時点では「それは内緒」だという。

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