【カベポスター語る(3)】
―繰り返しになりますが、いよいよ決勝です。よく芸人さんが言われるのは「競技漫才」という言葉。舞台とはまた違った部分もあるかとは思うのですが、その点はいかがですか?
浜田「うーん、実はそんなに区別してないですね。中学のときにはもうM―1があったので、ぼくらにとってはM―1こそが漫才というところもある。もちろん4分半でボケを削らないといけないということもあるけど、舞台でもテレビでもそんなにサイズ感は変わらないので、いつものスタイルでやるだけかなと思っています」
―永見さんはネタ作りするときにM―1仕様というか、そういう部分はあるのでしょうか?
永見「ぼくもテレビの漫才を見て育ったので、それが体に染みついているところはあるんですけど…。どうかなあ?ただ、ボケの数を普段より増やしても、先ほども言いましたが、流れが自然になるようにというのは注意しています。あとは2人で仕上げていく感じですね」
―今年は例年にも増して個性的なコンビが揃った気がしますが、このコンビは怖いというようなライバルはいますか?
永見「怖いなあというだけなら、さや香さんですね。大阪で同じライブとかも出てるし、一番知っているので、やっぱり怖いという思いはあります。マユリカさんとかも怖いし、みんなおもしろいですからね(笑い)。でも、これ本心なんですけど、とにかく一緒にやれるワクワク感が強いんです。負けんといたろ!というよりは、みんなで漫才できる期待感のほうが強いかな」
浜田「ぼくもとにかく楽しみ。準々とか準決勝では近いネタのコンビもいたんですけど、決勝はほんとにみんな個性的なので、誰の前でも誰の後でも気にならないです」
―とはいえ、トップはやはり(笑い)
浜田「そうですね。それは避けたいところ(笑い)。で、怖いというなら、さや香さんは一緒にやってきたし尊敬もしているんですが、ぼくは令和ロマンさんかな。大ウケしているところしか見たことがない。ほんまに大ウケしているところしか見たことがない(2度言う)。M―1が競馬だとして、さや香さんが本命になって令和ロマンさんのオッズが落ちてるとしたら、令和ロマンさんの単勝にぶち込みます!」
―(笑い)ところで、大阪吉本出身のコンビが実は2019年のミルクボーイから優勝していないんです。こんなに空位が続くのは初めてなんですが、そういう意味で、大阪のコンビとしての意気込みはあるでしょうか?
浜田「やっぱり全国の人には大阪の漫才がおもしろいと思ってほしいです。ぼくも大阪で育ってきたので。そんなに意識をしているわけではないんですが、大阪の人たちに育ててもらってここまで来たので、何とか期待に応えたいとは思っています」
永見「ぼくは大阪出身でもないし、大阪への特別な気持ちはないんです。本当に数年前までは大阪から出てくる漫才コンビが少ないとか言われても、何にも思わなかったんですけど、ここ数年でジワジワ変わってきたんですよね。それはたぶん、大阪吉本のたくさんの芸人と劇場で一緒に頑張っているからなんだと思います。大阪の芸人が元気ないとか言われると、なんか悔しいみたいな気持ちになる」
―仲間のためにも、という思いなのでしょうか?
永見「そうなんだと思います。一緒にやってきた人たちの気持ちを背負ってみたいなところは少し出てきたのかもしれないですね」=おわり=
◆カベポスター ・永見大吾(ながみ・だいご)左 1989(平元)年12月19日生まれ。三重県出身。NSC36期生。趣味はダーツで大喜利が得意でNSC時代には木村祐一に絶賛されたこともある。・浜田順平(はまだ・じゅんぺい)右 1987(昭62)年4月28日生まれ。大阪府出身。NSC36期生。大阪市立大を卒業。趣味は競馬予想、メジャーリーグ中継の観戦。大喜利は不得意で授業で0点をとったことも。 昨年、「ytv漫才新人賞」優勝、「ABCお笑いグランプリ」優勝、「M―1グランプリ2022」ファイナリストで大ブレーク。