フジテレビで81〜89年まで放送されていた伝説的お笑い番組で、2人は共演。中でも人気コント「タケちゃんマン」では、たけしがタケちゃんマン、さんまがブラックデビル、あみだババア、ナンデスカマンなど個性あふれる敵キャラクターにふんしてお互いの笑いをぶつけ合い、お茶の間の爆笑をさらった。
当時のさんまについて、たけしは「とにかく驚いたね。あんまりすごいんで」と回想。「台本があるんだけど、台本なんか俺も見ない方だけど、もっと見ない。現場の雰囲気で、さんまが天才だったので、1人でやってたね」と、そのセンスを絶賛した。
「アドリブがすごい?」と問われると、たけしは「アドリブというのは普通の話があって、逸脱する話じゃない?あの人の場合は、アドリブじゃないんだ。本ネタがない。アドリブに聞こえないのよ」と答えた。さらに、野球になぞらえて「160キロのスライダーみたいなもんで、ストレートがあるから変化球(が生きる)だけど、あの人は球が速い変化球だから、まるっきり大天才の球だよね」と、誰もまねできない芸当を繰り広げていたと明かした。
「ひょうきん族」といえば、土曜午後8時からの放送で、ザ・ドリフターズの「8時だョ!全員集合」と時間が丸かぶりだった。たけしは「ドリフターズを超えようと思って、いかりや(長介)さん以上にネタを考えて、こうやればいいと思って」と、打倒ドリフで意気込んでいたという。
ところが、「さんまちゃんをゲストに呼んで、ひっくり返ったもん。何だこれ?と思って」と、さんまの繰り出す異次元の笑いに脱帽。「これは俺が口出す必要はないし、明石家さんまに任せちゃおうと。あとはどうぞって」と、さんまにすべてを委ねる思いに変わったという。
「『ひょうきん族』は人気出たけど、それはすべて明石家さんまのおかげだと思うし、天才だし、勝てる人はいないんじゃないかな?いまだにそうだと思うよ」。たけしからのそんな賛辞に、さんまは「めっそうもない感じ。“たけしさんの背中をずっと見続けて、今日も来てるとよく言うんですけど」と恐縮していた。