「受け月」「機関車先生」など人間味を深く感じさせる小説のほか、エッセー、作詞など多彩な分野で活躍した作家の伊集院静(いじゅういん・しずか、本名・西山忠来=にしやま・ただき)さんが24日、肝内胆管がんで死去した。73歳だった。10月に病気を公表し、執筆を休止していた。告別式は近親者で行う。
山口県防府市生まれ。野球に熱中し、県立防府高を経て立教大に進んだ。大学時代に野球をやめ、卒業後、広告会社に勤務。テレビCMの企画などを手掛けた。伊達歩の名で作詞家としても活躍し、近藤真彦さんが歌った「ギンギラギンにさりげなく」「愚か者」は、ヒット曲となった。
作家としては1992年に社会人チームを率いる老監督など野球と人をめぐる連作短編集「受け月」で直木賞、94年に「機関車先生」で柴田錬三郎賞を受賞。瀬戸内海に面した故郷の町を舞台にした叙情性豊かな自伝的長編「海峡」3部作を発表した。
2002年、「ごろごろ」で吉川英治文学賞。ほかの著書に、朝鮮戦争に
妻だった女優の夏目雅子さんが1985年に亡くなった後、女優の篠ひろ子さん(75)と結婚していた。


