藤原季節「多摩は住んでいた町」最優秀新進男優賞TAMA映画祭にデビュー10周年上映で凱旋

藤原季節「多摩は住んでいた町」最優秀新進男優賞TAMA映画祭にデビュー10周年上映で凱旋

「デビュー10周年記念 藤原季節特集in TAMA」に登壇した藤原季節(撮影・村上幸将)

(日刊スポーツ)

藤原季節(30)のデビュー10周年を記念した特集上映が、東京・多摩市内のパルテノン多摩で開催中の第33回TAMA映画祭で「デビュー10周年記念 藤原季節特集in TAMA」と題して開催された。

藤原は、21年に「のさりの島」「佐々木、イン、マイマイン」「空白」「くれなずめ」「明日の食卓」の演技を評価され、TAMA映画賞最優秀新進男優賞を受賞しており、自身の特集上映という最高の形で凱旋(がいせん)した。

今回の特集上映は、9月に東京・テアトル新宿で開催されたデビュー10周年記念特集上映を、TAMA映画祭の関係者が見に来たことで実現した。藤原は「TAMA映画祭には感謝しかない。21年に最優秀新進男優賞をいただいた。自らの足で(『のさりの島』を)見に来てくださった、選考委員の方が選んでくれた.今日も、9月にテアトル新宿に足を運んでくださって実現した。多摩は住んでいた町。思い出深いです」などと同映画祭に感謝した。

この日は午前から、演劇企画ユニット「第7世代実験室」が20年に配信した主演舞台「たかが世界の終わり」が上映された。同作はジャン・リュック・ラガルス作のフランスの戯曲で、グザビエ・ドラン監督が16年に映画化した作品。同作を、16年に亡くなった蜷川幸雄さんの元で育った俳優を中心とした第7世代実験室が藤原を主演に迎え、コロナ禍の20年10月に自主製作で行った配信舞台。

劇場が閉鎖されていく中、彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督だった蜷川さんとともに俳優たちが稽古を重ね、数多くの蜷川作品を生んできた同劇場のNINAGAWA STUDIO(大稽古場)で収録した。無観客上演を1時間50分ワンカット長回しで収録し、1台のカメラが舞台上の俳優たちの間を動き回るノーカット映像に加え、YouTubeで稽古風景を同時配信した。

上映後のトークは、主人公のルイを演じた藤原が司会を務め、ルイの弟・アントワーヌ役と演出を担当した内田健司(36)、企画しアントワーヌの妻カトリーヌ役を演じた周本絵梨香(35)を招いて行われた。藤原は「蜷川幸雄さんの舞台に心底憧れて、このおふたりは主演…憧れの人だった。リモートで繋がることが出来、内田さんと喫茶店で会ってお話を頂いた」と、出演の経緯を説明。自身は蜷川さんへの直接対面も、演出を受けることもかなわなかったが、内田から「季節君は直接(蜷川さんに)出会ってないけど…道が続く」と言われると「スタジオに入って(蜷川さんが)かつて吸った空気を吸った。受け継がれているのかなと思いますし…おふたりには演劇を続けて欲しい」と熱く呼びかけた。

内田からは「映画にたくさん出られているのに、同じように舞台もオーディションを受けて、やってくれている。私は気になって…1回目のQ&Aで聞いてみたい」と、日本映画界において一躍、注目の若手俳優になりながら、舞台に飽くなき挑戦を続ける理由を問われた。藤原は「それは、憧れているとしか言うしかない。映画でジャッキー・チェン、シュワルツェネッガーに憧れて19歳で上京し、同じように蜷川作品のシェークスピアに憧れた」と、俳優を目指すきっかけとなった映画と同様、憧れを持ったからだと即答した。

その上で「(舞台は)記憶でしか再生できない。2度と帰ってこない時間、同じ空気を吸った瞬間の記憶が、つらくなったり負けそうなときに自分を支えるかも知れない…だから僕は10年、負けなかったんですよ」と熱っぽく語った。そして「今、自分が演劇をやっていても全然、その憧れに到達できていないので、続けなきゃと思っていますね。内田さんが出られたチェーホフを見て、また憧れて…終わりがない」と続けた。

内田が「感情が根底にあって、そこに理屈を乗っけてやってる。理屈を理解しながら感情を追求…難しい。俳優の方は大変だったろうな。藤原さんをはじめ俳優は、よくやってくださった」と、作品と俳優陣を評せば、藤原は「まだ未完成…セリフが頭の中にあって、まだ読んでいる」と心中を吐露。周本も「(コロナ禍で)観客がいなかったことが、しこりとして残っている。ドキュメンタリーも配信していて、終わった後『こんなの、しんどいよね』と言った感想も、配信しないのに残っている」と語った。

藤原が「今後については?」と尋ねると、周本は「季節君、演劇作りましょう!」と、熱い思いに応えることを約束。藤原が「皆さん、証人ですよ!」と客席に呼びかけると、内田は「藤原季節さんは何でも出来る状態なんですよ。これが、いい…なんていうの、あったら言ってもらって。私も藤原さんが出来るなら、何でも出来る状態なんで」と口にした。その言葉を聞き、藤原は満面の笑みを浮かべた。

◆藤原季節(ふじわら・きせつ)1993年(平5)1月18日、北海道生まれ。13年に現在、所属するオフィス作主催のワークショップオーディションで、応募総数500人から選ばれ、所属。14年の映画「人狼ゲーム ビーストサイド」で本格的に俳優活動をスタート。16年「ライチ☆光クラブ」「ケンとカズ」で頭角を現し、18年「止められるか、俺たちを」や20年「his」「佐々木、イン、マイマイン」、21年「くれなずめ」「空白」など、邦画の話題作に相次いで出演。20年に、ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。

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