【悼む】「盲点に君臨」したKANさん「愛は勝つ」に込めた思い 音楽記者として初めて前のめりに

<悼む>

「愛は勝つ」のヒット曲で知られる歌手のKANさん(本名・木村和=きむら・かん)が死去したことが17日、分かった。61歳。

KANさんは今年3月に「メッケル憩室がん」と診断されたことを公表し、コンサートツアーを中止。2022年秋に発症した腹痛が数週間継続したため検査を繰り返していた。その後「深刻な雰囲気になり、大きな病院に移って、更に多様な検査の後、組織摘出手術、病理検査の結果、2023年2月、『メッケル憩室癌』と診断されました」とつづっていた。

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KANさんのレコード会社の担当ディレクターH氏から「絶対にヒットする。(記事で)力を貸してほしい」と願われた。

33年前の90年9月に発売された「愛は勝つ」だった。デビューから約3年、ヒット曲はなかった。それでも自らを「J−POP界の盲点に君臨」と表現した。盲点とは「人が気づかず見落としている」こと。その自信に記者は興味を持った。

虚飾のない歌詞で「信じれば、最後に必ず愛は勝つ」と歌った。人生の応援歌にも聞こえた。記者が「今の若者に届きますか?」と問うと、「最近の若者は流行に乗っかって遊ぶ余裕を持っている。でも自分の部屋ではジャージー姿になるように、個人になったときは流行はなくなる。そんなときの音楽として、いろいろな人が聴いてくれれば」と話した。

ラジオから火が付き、発売から3カ月で約16万枚を売った。81年早々に、フジテレビ系のバラエティー番組「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」の音楽に起用されると、わずか1日で27万枚のバックオーダーが来た。プレスが間に合わず、ライバル会社のプレス工場を借りた。

日本レコード大賞を獲得し、NHK紅白歌合戦に初出場した。KANさんの記事を書きたいとアピールした時、「誰、それ」と言ったデスクに、「どうだ!。信じれば、最後は勝つんだ」と自慢した。音楽記者として、前のめりになった初めての歌手だった。【笹森文彦】

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