30年ぶりトム・クルーズに熱狂…「カメ止め」女優も「キャメ止め」で晴れ舞台「ほんまにいいところに」

 南仏カンヌで17日、開幕した第75回カンヌ国際映画祭。オープニング作品として上映された「キャメラを止めるな!」は万雷の拍手を浴び、さらに、トム・クルーズさんが待望の新作「トップガン マーヴェリック」を引っ提げて登場しました。熱狂は増すばかりです。(文化部 松田拓也)

目次

「トップガン」続編引っ提げ、映画愛を語る

 映画祭と言えば、華やかなスターにも注目が集まります。18日には、日本でも大ヒットした「トップガン」(1986年)の続編、「トップガン マーヴェリック」が特別上映されるのに合わせ、主演のトム・クルーズさんが、「遥かなる大地へ」(1992年)が上映されて以来、30年ぶりにカンヌへやって来ました。

 上映前に行われたイベントでは、約1000席の劇場が満員に。冒頭には約15分間、「ラスト サムライ」など、クルーズさんが出演してきた映画の名場面を再編集した映像が流れ、「ミッション:インポッシブル」シリーズのテーマ曲がかかると、登場前にもかかわらず大きな拍手が起こり、会場のボルテージは急上昇。満を持して本人が現れると、全員が立ち上がり、会場は万雷の拍手に包まれました。

 約1時間のイベントで、映画と共に歩んできたキャリアを振り返ったクルーズさん。会場が特に沸いたのは、映画と動画配信サービスに関わる話が飛び出した場面でした。「トップガン マーヴェリック」は本来、2020年夏の公開予定が、コロナ禍で複数回、延期された経緯があります。壇上で対談したジャーナリストから「動画配信サービスで公開することは考えなかったか」と聞かれたクルーズさんは、「それは決して起こりえなかった」と断言し、「大画面で見るための映画を作っています」と力を込めました。ハリウッドスターの映画愛を生で聞けた感慨で、胸がいっぱいになりました。

「キャメ止め」にオープニング大盛り上がり

 上田慎一郎監督のヒット作「カメラを止めるな!」の仏版リメイクで、オープニング作品となった「キャメラを止めるな!」には上映後、大歓声が送られました。後半に行くにつれて会場は盛り上がり、声をあげたり、手をたたいたりして笑う人が続出。エンドロールの音楽に合わせて拍手が鳴り響くなど、目の肥えたカンヌの観衆にも絶賛されていました。そしてオリジナル版に続き、現場を混乱させるプロデューサーとして出演、レッドカーペットも歩いた竹原芳子さんが一夜明け、日本メディアの取材に応じてくれました。

 スタンディングオベーションの際には、感極まった様子だった竹原さん。「世界的な俳優さんがたくさん出演している中で、ほんまにいいところにご縁を頂いたなと思いました」と振り返り、「みんなが作った『カメ止め』という作品があってのこと。上田監督がこの役を作ってくれて、応援してくれた方々が作品を広めてくれたおかげです」と、オリジナル版に関わった人々への感謝も語っていました。

 「キャメ止め」の撮影が行われたのは昨年の春のこと。同年の1月、出演のオファーを受けた際、「フランスに行けるんや!」と即諾し、ミシェル・アザナヴィシウス監督とのオンライン会議で、監督が「やりやすいようにやってください。とにかく、元気でパリに来てください」と言ってくれたことで、何の不安もなく現地入りできたといいます。

 撮影時には、フランス語で「どうもありがとう」を意味する「メルシーボークー」、あいさつで使われる「ボンジュール」だけを連発していたというのも、快活で愛らしい竹原さんらしいエピソードです。監督、そしてキャスト陣も「優しく、にこやか」で、「とにかく楽しかった」と繰り返し語っていました。

 会社員などを経て、50歳で芸能界入り。「どんぐり」の芸名で活動していたこともあります。「カメラを止めるな!」で売れっ子となり、ついにはカンヌにまでたどりついた竹原さん。上映翌日の18日には改めて、「キャメ止め」の監督や俳優と共に世界各国のカメラマンによるフォトコール(写真撮影会)に参加。カンヌの街を歩けば多くの人に声をかけられるといいます。今後の目標を尋ねると、「今日のことも昨日のことも、自分で考えられる範囲じゃなかった。これからは、何が来ても果敢に挑戦いたします!」と声を弾ませていました。

コンペ審査委員長は名優ヴァンサン・ランドン

 17日には開幕式に先立ち、コンペティション部門の審査員の記者会見が行われました。審査委員長を務めるのはヴァンサン・ランドンさん。2015年、同映画祭で男優賞を受賞し、昨年のパルムドール受賞作「TITANE/チタン」にも出演したフランスの名優です。会見では、審査委員長の職について「大きな責任」と言及した上で、ウクライナ情勢などを踏まえて「政治的な内容ではないために賞から遠ざけられることはない。監督の性別や国籍などが、賞の基準に影響を与えることもない」などと語りました。このほかの審査員は、男性と女性ともに4人ずつ。女優で監督のレベッカ・ホールさん、2019年に「レ・ミゼラブル」が審査員賞を受賞したラジ・リ監督らが務めます。

今年のコンペ部門には、世界的に名の知れた監督の作品はもちろん、期待の新鋭の作品も数多く出品されています。現地の反響や海外メディアの論評なども逐次チェックし、お伝えしたいと思います。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね♡
URLをコピーする
URLをコピーしました!

この記事を書いた人

アフィリエイター初心者です!よろしくお願いします。

目次
閉じる