歌舞伎俳優の市川團十郎が11日、都内で13代目市川團十郎白猿襲名披露・8代目市川新之助初舞台として行われる京都・南座「吉例顔見世興行」(12月1〜24日)の取材会に出席した。
長男・新之助による早口の言い立てが見どころの「外郎売」、團十郎と長女・市川ぼたんが共演する「男伊達花廓」など昼の部は「初めて歌舞伎を見る人にも楽しんでいただき、『歌舞伎を見たぞ』と思えるものをお届けしたい」。夜の部は片岡仁左衛門の「仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場」、口上、歌舞伎十八番の「助六由縁江戸桜」で「毎年、顔見世を見ている方も満足できる内容にしたい」と説明した。
昨年10月31日に18年間にわたり慣れ親しんだ海老蔵から13代目市川團十郎白猿を襲名して約1年。心境の変化を問われると「慣れてきました。『海老蔵さん』と呼ばれても、『團十郎です』と言えるようになった。お店を予約するときも、團十郎で予約するようになりました」。その一方、歌舞伎界最高峰の大名跡のため、「歌舞伎の中の團十郎という名前には重みがある。まだ、なりきれていない部分がある」と発展途上であることも明かした。
「助六」では女形の大役・三浦屋揚巻を中村壱太郎、中村児太郎がダブルキャストで、髭の意休を市川男女蔵がいずれも初役で勤める。團十郎は「次の世代に渡していくことにフォーカスして、未来への希望を念頭に白羽の矢が立った」と芸の継承への思いを語った。
報道陣から9月13日に死去した市川猿翁さんへの思いを聞かれると「おじさんにはご恩がある。旅立たれたことは、悲しく思います」と追悼。「四の切」や「伊達の十役」の稽古をしてもらったことを明かし、「成田屋と澤瀉屋は距離があったけど、私のことでコミュニケーションを取るようになって、父(12代目團十郎)とおじさん(3代目猿之助)が共演するようになった」と感慨深げに語った。