普段見ることのない解体現場に潜入し、驚きの技術を紹介するNHKの番組『解体キングダム』が、総合テレビで18日(後9:30〜10:42)に放送され、BSプレミアム時代の“重機王”城島茂(TOKIO)が久々に番組に帰ってきた。
解体工事は、物流や交通への影響を最小限に食い止めるため、通行止めを極力短くすることが求められた。その結果、橋を架け替えるためのリミットはわずか2週間。ニュースでも多く取り上げられた大プロジェクトに、城島と一級建築士の資格を持つ俳優の田中道子が密着した。のべ100台を超えるカメラでプロジェクトのすべてを記録した。
巨大橋を眼前に「撤去するイメージが湧かない」(田中)、「どうやって解体するんだろう?」(城島)と立ちすくむ2人。作業スタッフの「2週間で橋を撤去して、新しい橋を開通させる」という言葉もにわかに信じられない様子だった。
今回は、摩擦係数を軽減させたステンレス板とテフロン板を組み合わせたスライドレールを駆使して、橋を撤去・設置するという大胆な“カーリング大作戦”を実施。作業員は総勢1800人。大掛かりな解体ミッションを見守った田中が「4000トン(の橋)が動いてる。感動します」と感激するなか、開始から2時間足らず、巨大橋を安全に撤去することに成功した。
しかし、これでもまだ「全体の4割」と作業スタッフは語る。新しい橋の設置は、住宅街との兼ね合いで、古い橋との切れ目から5メートル程ズレた位置からスタートした。斜めにスライドさせる必要があり、難易度が跳ね上がるという。
最大の難関である新たな橋脚は、誤差2センチ以内の細かい設置が求められ、多数のジャッキを駆使した繊細な作業は、36時間にも及んだ。城島は「前代未聞の工事。皆さんの知恵と工夫、そして匠の技。やっぱり人間って素晴らしいなと改めて現場で思いました。正直、2週間も通行止めがあったら『もぉ〜』と思うかもしれないけど、その裏には大変な苦労がある。これからは感謝の気持ち、温かい目線で見るようになりました」と感嘆の声を漏らしていた。
後日、完成した高速大師橋を番組スタッフが車で走行した。工事箇所の走行時間はわずか20秒。しかし、その20秒は大勢の作業員が己の技とプライドを掛け、巨大の橋に打ち勝った証だった。