これまでトミー・ジョン手術を100例以上行ってきた野球医学の専門家。大谷の今季の活躍について、「二刀流でMLBでやっていくというのはとんでもないことなんですね。科学で言うとノーベル賞みたいな扱いのものなんじゃないか」と表現。「(科学者は)多くのチャレンジと失敗をしてノーベル賞にたどり着くわけです。大谷選手は今回、ノーベル賞級のチャレンジをして、多くの方がサポートしながらも残念ながらケガしてしまったと感じています」と語った。
ケガの前にはけいれんでの途中交代や登板回避もあった。「このメンバーでポストシーズンに行けるかも、という期待が本人にもあったと思う。その中でかなりギリギリの勝負をされた結果がこうなったのでは」と推測した。
気になる肘の状態だが、馬見塚氏は一つ目に疲労骨折や神経系の障害、二つ目に前回とは違う箇所の靱帯損傷の可能性を挙げた。「これまで正確に病態を(球団が)表現されていない」と既出の情報では判断しづらい様子。「代理人の話からドクターも診断に困ってたんじゃないかという節がある。明確に言わないし、GMと代理人が別のことを言ったり。証拠不十分で明確には言えない、でも投げられないから何かしなきゃいけない…みたいな表現に感じた」と感想を述べた。
その上で、自身の経験から「肘が痛いと選手が来たらじん帯損傷以外に、肘頭(ちゅうとう)疲労骨折が結構含まれる。神経が圧迫される胸郭出口症候群で肘が痛くなることもある」と分析。じん帯損傷でなく疲労骨折や胸郭出口症候群の場合はトミー・ジョン手術ではない術式となり、「投手としても来季の途中に復帰できる可能性が出てくる」と解説していた。