上方落語の重鎮で、２０２１年８月１７日に骨髄異形成症候群で死去した落語家・笑福亭仁鶴さん（享年８４）を追悼する「笑福亭仁鶴 三回忌追善落語会」が１７日、大阪・なんばグランド花月（ＮＧＫ）で開催された。
公演前に取材に応じた筆頭弟子の落語家・笑福亭仁智は「師匠の存在の大きさっていうのを、時が経つにつれて考える時があります」と、改めて亡き師匠をしのんだ。この日午前には一門で三回忌の法要に参加。自身も日記を読み返したそうで「（亡くなる）２日前に２時間ほどいろいろとしゃべったことが書いてあって。今思うと、もうちょっと話しをしていたら良かったな。コロナ禍で残念ながら本当に親しい人と師匠がお別れの機会を作ることができなかったというのも、残念やなと思っています」と話した。
公演は一門の弟子による落語のほか、浪曲師・春野恵子が「笑福亭仁鶴一代記」を浪曲で披露。中入り後には、仁鶴さんにゆかりのある落語家の桂文枝、月亭八方、桂小文枝、桂南光がゲストで登場した。仁智は「弟子の前では本心を見せない」と話したが、過去に共演した番組の写真や、舞台の写真が出てくると文枝は「車でよく連れて帰ってもらった。（当時）車持ってるのは兄さんだけ」と懐かしそうに振り返った。
文枝は仁鶴さん、月亭可朝さんとともに“吉本三羽がらす”と呼ばれたが、「私は２人についていくのがやっと」と苦笑い。また、小文枝の襲名あいさつに２人で一緒に行ったところ「君らは頼みにくる時はいつも一緒やなって言われた。僕も１人で行きにくかった」と明かし、八方も「溝があった。なかなか心を開いてくれなかったから、引っ越しの手伝いによく行きましたね」と思い出話に花を咲かせ、笑いを誘った。
最後は仁鶴さんの大ヒット曲「おばちゃんのブルース」を、出演者全員で合唱。昨年はコロナ禍で声出しができなかったお客さんも、歌詞カードを手に一緒に歌い、仁鶴さんをしのんだ。
