宇賀那健一監督「血が飛ぶたびに拍手と笑いがとんで」映画「ラブ・ウィル−」/連載4

宇賀那健一監督「血が飛ぶたびに拍手と笑いがとんで」映画「ラブ・ウィル−」/連載4

映画「ラブ・ウィル・テア・アス・アパート」の宇賀那健一監督

(日刊スポーツ)

今年4月の「ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭」で話題を呼んだ、女優久保田紗友(23)主演のホラーコメディー映画「ラブ・ウィル・テア・アス・アパート」が、19日に公開される。久保田演じる主人公・真下わかばに関わる人が次々と殺されていく、血しぶき飛ぶスプラッターが美しい映像で描かれている。独特の世界観を持ち、海外では「天才」とも「変態」とも、高い評価を得ている宇賀那健一監督(39)に聞いてみた。

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小学生の頃のいじめ事件が、大人になってもたらす衝撃的な事件。そして、まさかの結末。久保田、青木柚(22)莉子(20)ゆうたろう(25)ら若いキャストを支えるのは、前田敦子(32)高橋ひとみ(61)田中俊介(33)麿赤児(80)吹越満(58)ら豪華すぎる実力派だ。

主演の久保田紗友は長く黒い髪に、大きな黒い瞳。海外の人から見ても、日本女性の美を象徴するような感じだ。

「ある種、ダリオ・アルジェン監督の『サスペリア』(1977年)とかもそうですけど、そういうイタリアンホラーっぽい顔をしてるなとはちょっと思ってますね。『サスペリア』とか『フェノミナ』(85年)とか、あの辺に出てきそうな感じがします」

宇賀那という名字は珍しい。

「よく、沖縄の方ですかと聞かれます。僕は顔が濃いのもあるしね(笑い)。でも、大元は栃木の方ですね。生まれは東京です。“俳優部”で、17歳くらいからやってました。その当時付き合ってた彼女が、浅野忠信さんのことを大好きで、焼きもち焼いて浅野さんが出てるDVDを借りてきて見たら、めちゃめちゃカッコイイじゃん(笑い)。うちの母親がスプラッター大好きだったんで、僕はちっちゃい頃からスプラッターばっかり好きだったんだけど、邦画が面白いことに気が付いたんです」

スプラッター好きの少年が、浅野忠信の作品を見て演じることに興味を持った。

「そこで何かやりたいと思って、調べたら浅野さんが出てる映画で『地雷を踏んだらサヨウナラ』(1999年)ってあるんですけど、それの舞台版をやるっていうんです。それで、履歴書をすぐに書いて出したんです。自分で『写るんです』で写真を撮って、アルバイト用の履歴書に書いて出したら、募集要項に35歳以上って書いてあるんです(笑い)。でも、面白がってオーディションに呼んでくれて、決まって。その役じゃないんですけど、小さな役なんですけど出てっていうところがスタートでした」

俳優業から作り手へと進んできた。

「それで事務所に入って、いろいろとやりだすんです。とはいえ、そんなに順風満帆には行かずにね。そんな中で『着信アリFinal』(2006年)って映画に出てるんですけど、それに俳優の森岡龍(35)も出ていて、今は映画監督でもあるんですけど。彼が僕より多分4歳ぐらい年下だったんですけど、もう映画も撮ってて、役者もバンバンやっててという感じだったんです。まだ高校生のうちからぴあフィルムフェスティバルに2回ぐらい入選してて、すごい刺激を受けたんです。じゃあ、自分でただ待ってるだけじゃなくて、自分で出るところを作ればいいんだと思って、映画撮ろうって思ったんです。」

自分の出番を作るために映画を制作に乗り出した。だが、それは自分の出番をなくすことにつながった。

「僕は『着信アリFinal』のメンバーで、最初に映画撮ったんですよ。だけど、いっぱいいっぱい過ぎて、映画を撮るのが思ったより大変で、結局は自分が出る部分はなかったんです。そこから、もう映画祭とか出していったら、撮る方が面白くなってって感じですね。僕は、この作品の前に5本、今撮っているのが1本ありますから7本目になりますね」

「ラブ・ウィル・テア・アス・アパート」は今年4月の「ブリュッセル国際ファンタジー映画祭」で上映された。

「ちょうどその時期にドラマの方をやっていて、僕も現地に行きたかったんですけど、行けなかった。現地に行った人からの話だと、笑いも起こってたし、拍手も起こってたし、お客さんも結構入っていたみたいで、よかったなと思いました。その後にポートランドの映画祭は一応グランプリ撮ったんですけど。そこは上映した様子を行った人が送ってくれて、そしたら血が飛ぶたびにみんな拍手と笑いがとんで。日本でもそうなればいいなと思いつつ、この映像と血が飛んで笑うっていうのは(笑い)」

★宇賀那健一(うがな・けんいち) 1984年(昭59)4月20日、東京都生まれ。青学大経営学部卒。高校時代から俳優として活動して、監督業に進出。俳優として03年舞台「ROAD 地雷を踏んだらサヨウナラ」、04年映画「バッテリー」主演、06年映画「着信アリfinal」、10年NHK大河「龍馬伝」。08年映画「発狂」で初監督。長編映画は16年「黒い暴動(ハート)」、18年「サラバ静寂」、19年の「魔法少年☆ワイルドバージン」は20年「転がるビー玉」、22年「異物−完全版−」など。168センチ。B型。

※映画「黒い暴動」は、正しくは最後にハートの絵文字あり

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