原爆の実相を語り継ぐ朗読劇「この子たちの夏 1945・ヒロシマ ナガサキ」が5、6日、東京都世田谷区太子堂4のシアタートラムで上演される。1985年夏の初演以来、全国各地で公演を重ねてきたが、企画、制作する「地人会新社」は「今回の舞台でいったん終止符を打つ」といい、この夏が最後の舞台となる。
一瞬のせん光。日常の一切が消え、愛するものの命が奪われる。「あの日」をつづった子どもの、母親たちの言葉――。
「この子たちの夏」は広島、長崎の被爆者の手記や遺稿、詩歌など膨大な資料をもとに、演出家の木村光一さん(91)が、テーマを「母と子」にしぼって構成。麦わら帽子をかぶった女優たちが朗読する。主催していた「地人会」の解散で2007年に休止となったが、プロデューサーの渡辺江美さんが後を継ぐかたちで地人会新社を結成し、国際演劇協会と共催で4年後に再開した。これまでの上演数は全国47都道府県で延べ800回を超える。
東京での最終公演には、根岸季衣さん、原日出子さん、かとうかず子さん、旺なつきさんらが出演する。渡辺さんは「ロシア軍によるウクライナ侵攻などいまなお戦争は続いている。原爆の犠牲になった人々の思いを胸に刻んで平和を祈りたい」と話す。
詳細は地人会新社のホームページ。【明珍美紀】