嵐の松本潤が江戸幕府初代将軍を演じるNHK大河ドラマ「どうする家康」(日曜・後8時)の第30回「新たなる覇者」(6日放送)で、織田信長(岡田准一)の後継者争いが勃発する。
本能寺の変で信長を倒し、天下人となったはずの明智光秀(酒向芳)。だが、中国地方で毛利家と戦っていたはずの豊臣秀吉(ムロツヨシ)が大急ぎで毛利と和睦を結び、京都へ戻って明智を討ち取ったことで、「三日天下」に終わってしまう。
そうなると、問題は次のトップ。信長の家来で一番の有力者は柴田勝家(吉原光夫)だったものの、秀吉が速攻で敵討ちを果たしたために、パワーバランスが崩れてしまう。織田家の今後を決める「清須会議」で好きに振る舞う秀吉に、焦りを感じたのは信長の妹・市(北川景子)。自分が柴田と結婚して秀吉に対抗しようとする。戦争はいつまでたっても終わらない。
前週第29回「伊賀を越えろ!」(7月30日放送)では、家康の3大ピンチの一つである「伊賀越え」が描かれた。少人数で大阪・堺にいたところで本能寺の変が発生。権力者の盟友だったはずが、たちまち賞金首になってしまう。こっそり地元に戻らなければならなくなった家康は、伊賀(三重県)の山を抜けて帰ろうとする。
途中で伊賀忍者を率いる百地丹波(嶋田久作)に捕まり、首を切られそうになるも、かつて袂(たもと)を分かった本多正信(松山ケンイチ)が登場。正信が機転を利かせて救うなど、ほうほうの体で地元に到着した。なお、道中に百地に捕まったり、正信に助けられたりした部分は「史料にない部分を作劇で埋めている形と思います」(番組関係者)。とはいえ、家康は伊賀越えに臨む際に切腹を考えたとされており、命の危険にあったことは間違いない。
なお百地の格好は、歴史ゲームなどで人気のある伝説の忍者・百地三太夫に似ている。三太夫は架空の人物とされており、こちらは遊び心の一種だろう。
新たなライバルも覚醒しつつある。これまでも随所で不気味な表情を見せてきた秀吉が、光秀を倒した後、その首を見て「あ〜明智殿。今までで一番ええ顔しとるがね」とにやけた。SNSでは「明智の首級見たときの恐さに惹かれてしまってる」「ムロツヨシの秀吉がサイコパスw」「不気味な演技がすごく上手」とムロの怪演を絶賛。次のライバルにふさわしいキャラの濃さを見せている。
第29話の平均世帯視聴率は11・5%で微減もライバルのテレビ朝日系「ポツンと一軒家」がなかったこともあり、時間帯トップに。さらに本紙調べの週間ランキングでも7位に入る健闘ぶりを見せた。信長が倒れ、光秀が倒れ、豪華キャスト陣が迫真の散り際を見せてくれる。感謝の言葉か、辞世の句か、憎まれ口か、じっくりと味わいたい。
(NHK担当・浦本将樹)
※視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区