ＮＨＫ「ニュースウオッチ９」が、新型コロナウイルスのワクチン接種後に亡くなった人の遺族を、感染者の遺族に見えるように放送した問題で、遺族と遺族への取材に協力したＮＰＯ法人代表が５日、放送倫理・番組向上機構（ＢＰＯ）の放送人権委員会に同番組による人権侵害を申し立てたと発表した。今後、同委が審理入りするかどうか判断する。
同法人は、ワクチン接種後に亡くなった人の遺族の相談窓口などとして活動している。申立書によると、ＮＨＫの担当者は５月９日に同法人のホームページから取材申請し、接種後に死亡した人の遺族と知りながらインタビュー。しかし取材後、接種について番組で触れないことをほのめかしたという。同１５日の放送では、感染死と受け取れる構成で遺族の映像が流れた。
同法人や遺族らの代理人は「目的を秘匿して遺族のインタビューに及んだ。詐欺的取材が行われ、遺族の心情を踏みにじる放送がなされたことは許されざる人格権侵害だ」と述べた。この番組は、既にＢＰＯの放送倫理検証委員会で審議入りしている。
