『Official髭男dism one-man tour 2021-2022 – Editorial -』さいたまスーパーアリーナ公演より Photo by TAKAHIRO TAKINAMI
メジャー2ndアルバムを携え、昨年9月からスタートした『Editional』ツアー。横浜アリーナ、大阪城ホール、代々木第一体育館公演などを経て、追加公演として、自身最大級の会場となるさいたまスーパーアリーナ公演に臨み、3月19〜21日の3日間で合計4万4000人を熱狂させた。
憧れだったという“たまアリ”3daysの最終公演。手拍子が会場にこだまするなか、ツアータイトルが映し出されたスクリーンがゆっくりと上昇すると、藤原聡(Vo/Pf)、小笹大輔(Gt)、楢崎誠(Ba/Sax)、松浦匡希(Dr)が登場。トロンボーン、トランペット、サックスのホーンセクションとサポートメンバー計7人が加わった華やかなアンサンブルが響き渡り「Universe」で幕を開けると、楢崎、小笹がクラップしながら笑顔の花を咲かせ、藤原が伸びやかな声を響かせた。
「HELLO」「宿命」でたたみかけ、鳴り止まない拍手に手を振って応えた藤原は「このバンドとしてもずっと立ちたかったさいたまスーパーアリーナ。今まで何度も憧れのミュージシャンのステージを観て、心を踊らせてきたこの会場でライブをできること、すごくうれしく思っています」と感慨深げ。
「思えば埼玉ではライブハウスもやったし、インストアライブもやったし、ホールもやったし、いろんな思い出があるけど、その先にきょうという日があったこと、すごくうれしく思っています」と喜びをかみしめると「いろんな事情があってここに来たくても来られなかった人の想いも全部のっけて、かけがえのない音楽の時間を作りましょう。1拍、1小節、ひと言、伝え漏れのないようにしっかりやっていきます。改めて、Official髭男dismです。最後までよろしくお願いします」とあいさつした。
メンバー4人が椅子に腰掛けて演奏した「Shower」は、藤原がアコースティックギターをかき鳴らしながら歌唱。続いての楽曲を作詞作曲した楢崎が「僕の住んでいる街の小さな商店街が舞台の歌です。皆さんのイメージの中の小さな商店街や駅前を想像しながら聴いていだたけるとうれしいです」と切り出し、自ら指揮棒を振った「みどりの雨避け」では会場に温かな空気が広がり、小笹が作詞作曲したラブソング「Bedroom Talk」でも魅了した。
ステージにブルーのライティングによる巨大な鉄格子が浮かび上がると、歌詞を表現したような照明の中でメンバーが「Laughter」を演奏し、藤原はスタンドマイクで熱唱。割れんばかりの拍手がクラップに変わり、松浦が初めて藤原と共作した「フィラメント」では、藤原が歌詞を表現した手振りを交えて歌い上げた。
藤原は「ここまでは静かに聴いてもらう曲が多かったと思います。ここから先はライブで一つになることを大切にしようかなと。みんなの大きな“心の声”を聴かせて! どうかステージにパワーを返してください。最後までとことん楽しみ尽くしてやろうぜ!」と絶叫。ホーンセクションの演奏にピアノで呼応した藤原が客席をあおると、観客はクラップからの倍速クラップにいつも以上の力を込めて盛り上げた。
真っ赤な照明の中、次々とファイヤーボールが噴き上がった「FIRE GROUND」では、小笹のギターソロに藤原がショルダーキーボードで応戦。サイレンが鳴り響き、赤いサーチライトが会場中を照らし出して不穏な雰囲気を演出すると、目まぐるしく転調する「Cry Baby」を熱唱した。
会場が暗転すると、最新アルバムの冒頭を飾った2曲を続けて披露。タイトル曲「Editorial」は薄明かりの下、藤原のボーカルにデジタルクワイアで重ねた歌声が美しく広がり、間髪入れずにリード曲「アポトーシス」をじっくりと聴かせた。
本編最後の曲を前に、藤原はファンに熱いメッセージを発信。「きょうは来てくれてありがとう。お互いいろんなこと乗り越えて、絶対にまた会おうぜ。そういう思いを一人ひとりに届けてライブをしてきたつもりです」「この暗闇をちゃんと照らせるような音楽を作れるように頑張るから。またどこかで会える日を心から楽しみにしています」とライブ会場での再会を願うと、アルバム同様に「Lost In My Room」で締めくくった。
■降り注ぐ拍手喝采「めちゃくちゃヤバい日になりました」
「絶対また会いましょう。それまでどうか元気で」と伝えてメンバーがステージをあとにし、エンドロールが流れると、会場は盛大な拍手に包まれた。すると、スクリーン上ではエンドロールからライブ冒頭で流れた映像まで一気に巻き戻され、再び映像からアンコールに突入。ミラーボールに照らされたきらびやかなステージで「Pretender」を演奏し、「たまアリに立ちたいなと思って歌ったきた」という藤原は気持ちよくロングトーンを響かせた。
メンバーは「ありがとうございました〜!」(楢崎)、「最高すぎるぜ!」(松浦)、「たまアリ3日間、連れてきてくれたみんな、ありがとうございます!」(小笹)と万感の想いを込めて絶叫。藤原が三つ指をついて「きょうは本当にありがとうございました」とお礼すると、拍手の嵐に包まれながら「本当に楽しかったなぁ。去り難くて、最初の曲からやりたくなるよね。まじで帰りたないわ」と名残を惜しんだ。
まだまだしゃべり足りなそうにしつつも「我々がここで長話をすると、アンコールの途中で曲を聴けずに帰らなければならない人が出てきてしまう」と自重し、「異端なスター」「I LOVE…」で約2時間20分にわたって22曲を披露した圧巻のライブを締めた。
降り注ぐような拍手喝采を全身に浴び、藤原は「たまアリに立ちたいと言ってきて、みんなが3日間連れてきてくれました。そしてファイナル、めちゃくちゃヤバい日になりました。みんなのおかげです、本当にありがとうございます!」と感謝しきり。「また皆さんと再会する日まで曲をいっぱい作って、いいライブをたくさん作って、ステージで待っていようと思います。ここから前に進む力をみんながくれたので、これからもヒゲダン、爆進いたします!」と力強く宣言した。
本公演の見逃し配信(アーカイブ)は、5月8日午後11時59分まで。また、9月28日から新たなツアー『Official髭男dism SHOCKING NUTS TOUR』が開催されることが決定した。東京公演は、10月25・26・29・30日に日本武道館4daysが行われる。
■『Official髭男dism one-man tour 2021-2022 – Editorial -』セットリスト
▼さいたまスーパーアリーナ 3月21日公演
01. Universe
02. HELLO
03. 宿命
04. 115万キロのフィルム
05. Shower
06. みどりの雨避け
07. Bedroom Talk
08. Laughter
09.フィラメント
10. Anarchy
11. Stand By You
12. ペンディング・マシーン
13. ブラザーズ
14. ノーダウト
15. FIRE GROUND
16. Cry Baby
17. Editorial
18. アポトーシス
19. Lost In My Room
【アンコール】
EN1. Pretender
EN2. 異端なスター
EN3. I LOVE…