「ピーター・パン」は、1904年にスコットランドの作家ジェームス・マシュー・バリーが発表した戯曲および小説によって発表されて以降、映画やミュージカル、そして、テーマパークのアトラクションとして、世界中で親しまれてきた。
大人になりたくない少年ピーター・パンと、ロンドンに住む少女ウェンディとその弟たちがネバーランドで繰り広げる冒険物語は、“誰もが通る道”を描いたものでもある。これから“大人”になる“子ども”だけでなく、すっかり“大人”になってからも“大人になる”にという壁にぶつかり、「ピーター・パン」の物語が必要になることがある。それが“不朽の名作”と言われるゆえんだ。GW(ゴールデンウィーク)に、新作『ピーター・パン&ウェンディ』とあわせて観たい、「ピーター・パン」の実写映画を紹介する。旧作は、動画配信サービスやDVD/Blu-rayで視聴できる。
■「ピーター・パン」のになるまでの前日譚――『PAN〜ネバーランド、夢のはじまり』
2015年公開の映画『PAN 〜ネバーランド、夢のはじまり〜』(ワーナー・ブラザース)は、少年ピーター(リーヴァイ・ミラー)が、誰もが知るピーター・パンになる前にどんな出来事や出会いがあったのか…。ファンタジックな世界観と映像美で描かれるピーター・パンの前日譚。ロンドンの孤児院に暮らす少年ピーターがまだ見ぬ母親を探すためにネバーランドに旅立ち、若き日のフック船長(ギャレット・ヘドランド)やタイガー・リリー(ルーニー・マーラ)といった仲間たちとの出会いなどを描く。健気なピーター、自己中心的な悪役でありながらも時折繊細な面も垣間見える黒ひげ(ヒュー・ジャックマン)、意外な人情味をみせるフックなど、それぞれの性格がしっかりと描き分けられており、個性的なキャラクターたちによるやり取りや、彼らの間にある人間ドラマが大きな見どころとなっている。
■ウェンディとのラブストーリーも――『ピーター・パン』
2003年公開の映画『ピーター・パン』(ソニー・ピクチャーズ)は、 “大人にならない少年・ピーター・パン”の物語を、イギリスでのミュージカル初演以来100周年を記念し、原作に忠実な形で実写映像化したもの。原作を忠実に映像化することで寓話性の高いドラマが展開されているのに加え、当時の最新CG技術を全編に駆使し、ピーター・パンたちの飛行シーンやネバーランドの冒険など、スリリングで迫力満点の映像に仕上がっている。また、ピーター・パン(ジェレミー・サンプター)と、小説家を夢見るウェンディ(レイチェル・ハード=ウッド)のピュアなラブロマンスも描かれている。
■大人になり記憶をなくしたピーター・パンが登場――『フック』
スティーヴン・スピルバーグ監督による1991年公開の映画『フック』(ソニー・ピクチャーズ)。40歳の大人になった永遠の子どもピーター・パンが、宿敵フック船長と再び闘うことになるというユニークな設定が魅力となっている。かつて自分がピーター・パンであったことを忘れ、家庭を顧みないビジネスマンなっていたピーター・バニング(ロビン・ウィリアムス)が、ある日突然フック船長によって自らの妻子をネバーランドに誘拐されたことで、救出のために再びネバーランドへ戻ることを決意する物語。”子ども心を忘れない”とこと、“大人になること”は矛盾しないということに気づかせてくれるスピルバーグ監督らしい一作。フック船長は、ディズニー・アニメーション『ピーター・パン』のフック船長にそっくりな衣装でダスティン・ホフマンがふんし、ティンカーベルをジュリア・ロバーツが演じている。
■『ピーター・パン&ウェンディ』はどんな作品?
新作『ピーター・パン&ウェンディ』は、アニメーション映画とは違った新たな物語が展開されるようだ。これまで、宿敵として立ちはだかることが多かったピーター・パン(アレクサンダー・モロニー)とフック船長(ジュード・ロウ)の間にどんな出来事があったのか、秘められた過去が明らかになる。そして、もう一つ、新たな魅力として、ピーター・パンとウェンディ(エヴァー・アンダーソン)がダブル主演となっている点だ。ピーター・パンに加え、子どもと大人の間で悩みや葛藤を抱えるウェンディの成長物語も一つの軸となっていく。4月28日よりディズニープラスで独占配信。