ジャニーズに突き付けられた創業者の性加害という“負の遺産”…問われるメディアの存在意義

「この国の大手メディアは一体全体どうなっているんだ」「なにか弱みでも握られているのか?」

 ジャニーズ事務所の創業者ジャニー喜多川氏(故人)による少年たちへの性加害で、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏(26)が日本外国特派員協会で記者会見した翌13日、海外メディアからそんな声があがった。

「イギリスの公共放送BBCが報じ、問題が世界的になっても、完全スルーした日本の大マスコミですからね。今回も案の定といえば案の定ですけど、被害者が顔出し、実名で公の場に初めて登場し行状を告発したにもかかわらず、NHKも民放各局も沈黙している。共同通信が配信した記事を掲載した一般紙はありましたが、メディアがメディアとして機能していないといわれて当然ですよ」(ワイドショーデスク)

 報じたくてもTV局にはジャニーズへの「忖度」があり、報じることができないのだという。

 会見でオカモト氏はこう言った。

「日本のメディアでは、おそらくこのことは報じないだろう。外国のメディアならば取り上げてくれるのではと言われ、この記者会見を受けることにしました」

 華々しい芸能界での活躍を夢見て、事務所の門を叩いた少年が、そこの社長から性的虐待を強いられる。拒否すれば、夢への道は絶たれる。退所して別の事務所を探そうにも、ジャニーズ事務所への忖度でまず採用されないし、デビューできたとしても、TVには出演できない。“辞めジャニ”はどんなに売れっ子でも干されるとの不文律がまかり通っていたからだ。そんな状況下でオカモト氏は15歳の時から2016年に退所するまでの4年間に15〜20回、被害に遭ったとし、Jr.のほぼ全員が同じ仕打ちを受けていたと思うと証言した。ジャニー氏の性加害は2004年に裁判で事実認定されて以降も続いていたわけだ。

■ジャニーズとメディアには「報じない」という暗黙の了解が

「メディア、とりわけジャニーズ担当記者のいるスポーツ紙などは、このことを知っていた。それでも、知っていても書かない、報じないという暗黙の了解をジャニーズと結んでいますから。もし書いたり、報じたりすれば、ジャニーズから会社ごと取材の場などから外されることを恐れているのです。出版社もカレンダー利権で縛られています。そのため、被害を名乗り出ても、メディアは無視すると未成年だったオカモト氏でも知っていた。メディアとして機能していないどころか、同罪ですよ」とジャニーズ担当であった元スポーツ紙記者は言う。

 そうした支配の構造で芸能界、芸能マスコミを封殺してきたからか、ほとんどの海外メディアからの取材にもジャニーズ事務所は応じず、ようやく共同通信などに出したコメントは以下。

《弊社としましては、2019年の前代表の死去に伴う経営陣の変更を踏まえ、時代や新しい環境に即した、社会から信頼いただける透明性の高い組織体制および制度整備を重要課題と位置づけてまいりました。本年1月に発表させていただいておりますが、経営陣、従業員による聖域なきコンプライアンス順守の徹底、偏りのない中立的な専門家の協力を得てのガバナンス体制の強化等への取り組みを、引き続き全社一丸となって進めてまいる所存です》

 これはHPに記載のある文面とほぼ同じ内容を繰り返しただけ。しかも性加害については一切触れていない。これだけで、長年にわたる創業者の犯罪的行為への対応を終わらせようとしているのだ。

■NHKが1日遅れながら夕方4時のニュースで詳報

 しかし、今回のオカモト氏の告発で潮目は確実に変わりつつある。13日にはNHKが夕方4時のニュースでオカモト氏が開いた会見の内容について1日遅れながらも詳報したからだ。

 芸能界では帝国とまで形容されるジャニーズ事務所。創業者が残した“負の遺産”をどう清算するのか。報じるメディアの存在意義も問われている。

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