今作は、昨年5月にリリースされたアルバム『X ーCross IVー』に続く、デビュー50周年記念作品の第2弾。制作コンセプトとして「音質の良さ」が掲げられ、レコーディングエンジニア界の巨匠・内沼映二氏の手により、音楽的に高品位なサウンドを目指した1枚となる。
石川は「アナログレコードからCDに変わっていったのは、昭和から平成になる頃だったかなと思いますが、最初にCDで音楽を聴いたとき、狭いところに押し込められてしまった感じがしたんです」と回顧し、「もうあのときの音を耳にすることはできないんだろうか、耳の記憶だけになってしまうのだろうかと、少しさみしく思っていました」としみじみ語った。
しかし、ストリーミング配信が音楽供給の主流となる一方で、アナログレコードの魅力も再認識されてきていることを受け、「CDがかっこいいね、スマートだねっていうところに落ち着かなくてよかったというのが、歌い手としての素直な思い。なので、今回のアルバムでそういった形態で音楽が作ることができるときいたとき、なんて幸せなことなんだろうかと思いました」と喜んだ。
実際の制作作業については、「内沼さんのミキシングは、まるで魔法がかかったかのよう。自分でもこんな声が出せたのかと驚く仕上がりになる」とし、「発声して耳に返ってくるときに違った絵になっていると、耳がぐちゃぐちゃになってしまう。だけど、内沼さんのミキシングだと景色が深まっている気がして、自由度が上がる感覚になる」と感謝を伝えた。
昨年デビュー50周年を迎え、今作で新たな可能性にも挑戦した石川は、「器用歌いにはなりたくないんです。いろんな世界に飛んでいきたい。そこでいかに自由にしていただいて、はばたけるのか。まだやっていないことはたくさんある」と未来を見据える。そして「51年目から思いっきりやりたい。『頑張る』って言葉もだんだん恥ずかしく思えてきたので、楽しみたいなと。でも、楽しむためには本気で頑張らなきゃいけないんですよ」と力強く語った。