
2018年、米イリノイ州シカゴ。アレン・ルイスさんは、太ももの肉が異常に垂れ下がり胸に割れ目を作るほど巨大化した腹の肉でダブルベッドを埋め尽くすほどの巨大ボディだった。さらに、妻のヴィアニーさんも巨体で「私は今、基本的に寝たきりの状態なの。シャワーを浴びに行くこともできないのよ」という。
ヴィアニーさんは「食生活を変えなきゃいけないことはわかってるの。でも今の食事がなくなったら何のために目覚めるのかわからないわ」という。そんな妻のため、アレンさんは朝食にはベーコンにパンケーキ、スクランブルエッグと2人の好物を調理。そして朝食の後にはデリバリーしたチーズのかかったチキンとパスタに一人一枚のLサイズのピザを平らげる。
1982年、シカゴで生まれた妻・ヴィアニーさんは母に暴力をふるわれており、そんな悲しい気持ちを忘れるためにたくさん食べるようになったという。
その後母は亡くなったが彼女の食欲はおさまらず、18歳になった頃には体重181キロに。動くことが難しくなり、彼女は家に引きこもり、ただ食べるだけの生活が7年続いた。そんな頃、出会ったのがアレンさんだった。
夫・アレンさんは1977年にイリノイ州の小さな町で生まれた。10歳のころ両親が離婚し、アレンさんを引き取った祖父母はハンバーガーやポテトなど、手軽でハイカロリーなものを好きなだけ与え、13歳で91キロに。
学校ではあだ名をつけられてからかわれるようになり、家から出なくなったアレンさんは気を紛らわせるように食べ続け、20代で181キロ、30代になると227キロに。そんな中、二人はマッチングアプリで出会った。
ヴィアニーさんは「アレンは私の食事を見てもまったく否定しないわ。私たちはお互いに好きなものを食べる自由を与えあっているの」と話し、アレンさんは「僕たちがこうして一緒にいるのは間違いなく食べもののおかげだよ」と話し、2人は交際から5年後に結婚。
この時の体重は、ヴィアニーさん226キロ、アレンさん249キロだった。結婚から5年、2人の食欲はまったく変わらず。そしてある日、病院にヴィアニーさんが行くと、うっ血性心不全と診断。医師からは40歳までしか生きられないかもしれないといわれ、生きるために彼女は手術による減量を決意。
しかし2人は政府からの給付金で生活しており、高額な手術代など用意できるはずがなかった。なので、アメリカで人気のダイエット番組へ応募することに。
そこで医師から「そんな生活をしてはいけないことはわかってますよね?2人が食生活を変えないかぎり私にできることがあるとは思えません。まずはご自身で努力する姿を私に見せてください」と告げられ、医師は炭水化物を控え、高タンパクな食事をするように提案。
4ヶ月後2人は減量手術のためヒューストンへ。シカゴからヒューストンまでは、アメリカを縦断しなければならず、その距離約1700キロ。飛行機に乗れない2人は車での大移動となった。しかしドライブから2時間、ヴィアニーさんが「脚が痛いわ。お腹もペコペコ。早く部屋で横になりたいわ」 と限界に。
すると頑張ったご褒美なのかこの日は好きなものを食べることにした。
さらに翌日も2〜3時間で限界がき、この日も食事の制限はせず、ヒューストンに到着したのは4日後だった。
翌日病院へ行き体重を測るとアレンさんは294キロ、 ヴィアニーさんは270キロに。この結果に医師は「来月までに50ポンドの減量をしてください。それをクリアできたら減量手術を行います」と告げた。こうしてヴィアニーさんは「アパートにあった炭水化物や甘いものは全部捨てたわ。次回先生に会った時に、絶対減量手術を許可してもらうの」とダイエットを決意し、なんと32キロ減の238キロに。
一方アレンさんは281キロと13キロしか減量できず、ヴィアニーさんだけが減量手術を行うことに。
その方法はスリーブ状胃切除術と呼ばれるもので、胃を物理的に小さくし食欲を刺激するホルモンの分泌を抑えることで食べる量を減らす方法。肥満手術の中で安全性と効果のバランスがもっとも良いとされている。
手術当日、ヴィアニーさんはさらに20キロの減量に成功して手術に挑んだのだが、手術中彼女の心臓が停止してしまう。幸いにも心臓は数秒後に動き出し容体は回復したが手術は中断。
医師によると「ヴィアニーの体は、長年かなりの重さに耐えてきました。それが限界を迎えてしまったんだと思われます」という。彼女はさらに減量をして、体の負担を減らすまで手術は延期されることになった。
そして3ヶ月後、今度はアレンさんが減量に成功し、手術も無事成功!胃の80%が摘出されたという。
それから3年後、仰天スタッフが2人を訪ねると、ヴィアニーさんは「今は225キロぐらいだけど、前は180キロぐらいまで痩せたのよ!」と一時、90キロの減量に成功していたという。手術はまだ受けられておらず、「また手術を受けるために頑張っているわ」と話す。
夫のアレンさんは現在118キロと大減量に成功。「今はフードデリバリーや荷物の配達ができるようになったんだ」と話すが、「実は家を追い出されたんだ。今は車で寝泊まりしているよ」という。ヒューストンまで走った車が1年前廃車になり新たな車を購入した時に、滞納してしまった家賃を払えず、追い出されてしまったのだという。
ヴィアニーさんは「当面の目標はまた家に住めるようになることね。」と話す。2人の困難は尽きないが、それでも前向きに頑張っている。