フランスで導入されているこの制度は、子供などの扶養家族が多いほど世帯ごとの所得税負担が軽減されるもので、この日の国会でも議論に上がった。竹中氏は「基本的には賛成です」と賛意を示した。
番組では現在の税率をもとに実例を挙げて説明されたが、竹中氏は「分かりやすい説明なんだけど、全体の税収が減ってどうするんだという。そこは全体の制度を組み直さないといけない」と、導入の際には大がかりな制度改革が必要との見方を示した。
フランスの制度は1946年に導入されたもので、長い歴史をかけて現在の形になった。竹中氏は「魔法のつえのようなものはなくて、これをやればうまくいくという制度はない」と前置きし、「いろんな制度を組み合わせなければならない。“異次元の少子化対策”と本当に言うのなら、いろんなこと、考えられることすべてやるということ。N分N乗方式もそのうちの一つになると思う」とした。
竹中氏によると、アベノミクス初期の2014年ごろに成長戦略会議の一環で導入が話し合われたが、立ち消えになった経緯があったという。竹中氏は「異次元ということならそれはやらないといけないですよね」としつつも、「日本の場合はそもそも少子化対策という言葉を使われますけど、子供を何人もうけるかって、本当に個人の究極の自由の問題なので。それに国が立ち入るのは良いことなのか、すごいためらいがあった」と、当時の空気感を説明した。
そのほかの少子化対策として竹中氏は、事実婚や同性カップルに結婚に近い権利を与えるパックス制度や、養子縁組の緩和を提案。「日本は養子縁組を簡単にしてくと。子供は妊娠しちゃったけど、育てられないので中絶する人は20万とか30万とかいると言われているので、そういう制度を組み合わせてやっていく。これだけじゃうまくいくという制度ではないけど、やった方がいいと思います」と訴えた。