若手俳優の登竜門として知られる「新春浅草歌舞伎」(24日まで)が2日、東京・浅草公会堂で初日を迎えた。
コロナ禍により3年ぶりの公演で「双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき) 引窓」が開幕を飾った。義理の子と実子の間で揺れ動く親子、家族を描く名作で中村隼人、中村橋之助、坂東新悟らが出演。
人をあやめ、追われる身にある力士、濡髪長五郎を橋之助が、隼人はその力士を捕まえなければならない郷代官を演じている。ともに初役ながら橋之助は重厚さの中に哀愁を表現。隼人は出世姿を家族に見せる場面では軽妙さを、長五郎の件で苦悩するシーンでは情のある演技を見せている。恒例だった館前での鏡開きイベントはなし。開幕前、座頭の尾上松也が「熱気あふれる舞台を通じ、日常を離れて心弾む時間をお過ごしください」などと音声のみであいさつしている。