昨年度の昇段者に対する免状授与式が18日、大阪・関西将棋会館で行われ、将棋界のプロを指す四段に4月、昇段した徳田拳士四段(24)が免状を受け取った。山口県周南市出身の徳田は同県出身者で初、一昨年卒業した同志社大出身者でも初の棋士になった。
「免状をもらって、身の引き締まる思いです」。三段昇段から4年8期で到達したプロ。26歳の誕生日を迎える三段リーグ終了までに昇段できなければ退会。その鉄の掟を意識し始めたところだっただけに、喜びも大きかった。
奨励会で四段を目指しながら通った同大では経済学部で学び、スキューバダイビング、フットサル、幼稚園で演劇を披露するボランティアサークルなど多彩に活動。周囲が就職活動に取り組み始めた頃、徳田も家族と相談はしたというが、改めて棋士への思いを強くした。
「奨励会は長かった。最後の1年、ようやく本気で頑張れたかなと思う」。拳士の名前はアニメ「北斗の拳」に由来する。スポーツ少年団の柔道で培った勝負根性を武器に、「勝率7割」を初年度の目標に掲げる。
昨年度の名局賞に輝いた第34期竜王戦第4局。当時の藤井聡太3冠(19)が豊島将之竜王(31)に7番勝負4連勝し、竜王位を奪取した2日間、記録係を務めた。「藤井先生が楽しそうに読みふけっていた姿が印象的でした」。徳田の師匠・小林健二九段(65)と藤井の師匠・杉本昌隆八段(53)は板谷進九段門下の兄弟弟子でいとこの間柄にある。「奇をてらったような作戦は好きではない。王道の将棋を指したい」。勝率7割の先に、至近距離で見守ったあの大舞台が待っている。