松坂桃李、広瀬すずとの「流浪の月」撮影秘話回顧 横浜流星サプライズバースデー秘話も<第14回TAMA映画賞>

【モデルプレス=2022/11/26】俳優の松坂桃李、広瀬すず、横浜流星が26日、都内で開催された第32回映画祭TAMA CINEMA FORUM 第14回TAMA映画賞授賞式に出席。松坂と広瀬が受賞しての思いを語った。

◆松坂桃李「流浪の月」で「最優秀男優賞」に

国内映画賞のトップバッターとして注目を集める「第14回TAMA映画賞」は、多摩市及び近郊の市民からなる実行委員が「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる<いきのいい>作品・監督・俳優」を、映画ファンの立場から感謝を込めて表彰するもの。

『流浪の月』で「最優秀男優賞」を獲得した松坂は「先ほど舞台袖で佐藤二朗さんがですね、『俺が喋りやすいように場を柔らかくしろ』って言われて(笑)。元々喋ることを考えていたんですけど、『場を柔らかくしろ』って言われて、それが先行して今もう何を喋ったらいいかちょっと分からなくなってきちゃったんですけれども。すいません。二朗さん」と佐藤に謝り、しどろもどろに。佐藤から「ばらすなよ!桃李!」といういじりが入ると「すいません!」と照れ笑いを見せた。

仕切り直した松坂は「チャップリンがですね、『あなたのベストアクトはなんですか?』という質問に対して、『ネクストワン』『僕のベストは常に次だ』という風に答えたんですよね。それがすごくいいコメントだなあと思っていて。僕もいつかそういうことを言えるようになればいいな・なれたらいいなと思って、頑張っていこうという風に思ってやってきたんですけれども。まだまだやっぱり、チャップリンほどは遠く及ばないですけれども、今回のこの『流浪の月』に関しては、間違いなく僕の中でもベストだと。今の僕の中でもベストだと思っています」と『流浪の月』における自身の芝居に胸を張った。

「そういう風に言えるくらい、今回は自分の中で全てを出し切ろうと。ものすごく僕自身の中で挑戦でもありましたし、勝負の作品だなと思っていたので、今回受賞することができて本当にうれしいですし、何よりここに導いてくださった李監督、そして共演してくれた広瀬すずさん、他のキャストの方々、スタッフさんの方々、その方たちの力のおかげで、こうして今この場に立って喋ることができています。改めてその方たちにも感謝を言いたいです。本当にありがとうございました」と胸の内を明かした。

◆松坂桃李「流浪の月」での役は「やったことがなくて」

「クラインフェルター症候群」を抱える文役を演じたことについては「第二次性徴期が来ないという、ちょっと特殊な、特殊と言いますか、中々共感と言いますか。本人自身も『分かっては欲しいけど、わかって欲しくない』。その難しい自分の体や心の微妙な形と言いますか、そういったことをお芝居で表現するっていうのが、僕の中で本当にやったことがなくて。すごくハードルが高いなと思っていたんですよね。なのでずっと作品が終わるまでですかね?李監督とずっとセッションして、何度も何度もリハーサルを重ねたりとかして、この佐伯文という役に向き合っていきましたね」と振り返った。

減量を伴う役作りに関しては「作品に入る前に李さんとお話をさせていただいて。文の体のラインと言いますか、『見た目の話で言うと、もうちょっと絞った方がいいかもね』という話に着地しまして。そこから食生活なんかを改善したりしつつ、現場には挑ませていただきましたね」と述懐。

また「撮影が終わってクランクアップした日にですね、李さんが『じゃあちょっと、2人でご飯を食べに行こうか。僕がおごるよ』ということで、ご飯に連れて行ってもらったんですけど、その時に胃袋がちっちゃくなっているので、お粥から頼んだんですけど、そのお粥が本当においしくてですね。今でも忘れられない、おふくろの味くらい、僕の中でトップ3に入るくらいおいしいお粥になりましたね」と笑顔で語った。

◆松坂桃李、今後挑戦したい役は?

そんな松坂は、きょうだいを描く作品に取り組みたいとのことで「きょうだいものってそんなにやったことがない。やらせていただいたことがないなと。ふと思いまして。ちょっと年の離れたきょうだいでもいいんですけど、アットホームなハートフルコメディチックなきょうだい作品があれば、ぜひ呼んでいただきたいなと思います。全力でやりたいです」とアピール。

「TAMA映画祭に呼んでいただいたのが今回で2回目で。前回は2018年に呼んでいただいて。『ここにまた立てるように』という言葉を残して2018年を終えて、そしてまた2022年にこうして立つことができて、本当にうれしく思っています。それも映画という仕事に携わらせてもらったから、ここまで来れたんだなと思っています。またこのTAMA映画祭に呼んでもらえるように、呼んでもらえるような作品に出続けられるように、日々精進していきたいなと思っています。ありがとうございます」と語っていた。

◆広瀬すず「流浪の月」は「生きてきた中で一番自分の心が弱っていました」

同じく『流浪の月』で「最優秀女優賞」を受賞した広瀬は「このような素敵な賞をいただけて、本当にまっすぐ更紗と向き合いながら一生懸命生きてよかったなってすごく思っています。自分の中ではすごく苦しい撮影だったなとは思うんですけど、今こうして『流浪の月』という作品が多くの方に届いていたんだなと思うと、本当に踏ん張ってよかったな。そして監督、桃李さん、支えていただいた方がたくさんいらっしゃったので、こういった形で少しでも恩返しができたらいいなと思っております。本当にありがとうございます」と喜びを語った。

撮影については「たぶん普通に生きてきた中で一番自分の心が弱っていましたね。何を見ても苦しかったというか、何を感じても苦しくて。ずっと混乱していました」とのこと。『怒り』でも現場を共にした李監督の現場については「すごく辛い役が多いなと思います(笑)。でも、すごくやりがいがあるというか。お芝居を通して、役者としてこんな贅沢な現場はないだろうなと思いますし。ここまでやると、自分自身とそして共演者の役を超えた人と、ここまで向き合ってっていうのが怖いなと、『怒り』のときは思っていたんですけど、嫌でもすごく向き合わされる時間を設けてくださるというか。『絶対逃げれないな』と思いながら(笑)、撮影に参加させていただいています」と印象を明かした。

改めて『流浪の月』に対する思いを聞かれると「20歳を過ぎて、このタイミングで李さんの映画に参加できて良かったなって思います」と返した。

◆松坂桃李、広瀬すずを称賛「すごいなと思いました」

共演した松坂が隣に並ぶと広瀬は白い歯を見せ、松坂は「なんで笑ってるの?」と笑顔。広瀬は「ずっと、二朗さんのあとに喋るのめっちゃ嫌だったんですよ」と自身の前にマイクを握って会場を盛り上げた佐藤二朗に言及。松坂は「分かるよ」と頷き、広瀬は「そのあと私めちゃくちゃ嫌だなと思って。つまらないことしか言えなくてごめんなさいと思って。来たら、桃李さんが来てほっとしました」と安堵していた。

李監督の現場について松坂は「とにかく入念なディスカッションといいますか。まず役について、今から始めるシーンについてのディスカッションみたいなものがあったうえで、リハーサルを何度か重ねて。重ねたうえでようやく、撮影部の方や照明部の方とか、いろんなスタッフさんを呼んで。ようやくそこで初めて、監督がテストみたいなことをやる現場」と発言。「僕は初めてだったので。それがすごく新鮮で。こんな濃厚な現場を最初からもう踏んでいたのかと思うと、すごいなと思いましたね。広瀬すずという人は」と李監督の現場を重ねている広瀬を称賛した。

一方の広瀬は「それこそ『怒り』のときの初日に、カメラを回してっていうことがなく1日が終わって。早朝に現場に入ったんですけど、夕方くらいまでワンカットも撮れず。今回の初日、監督も思っていることがいっぱいあったと思うんですけど、撮れたっていうだけですっごい安心して(笑)。こんな感じだったなっていうのをやりながら思い出していくような感覚で。でも1人じゃなかったというか。文という自分の中ですごく支えになっている人、現場でも実際に私の中で桃李さんがそういう風にどんどん思える時間がたくさんあったので….心強かったです」と笑顔で感謝を語った。

◆松坂桃李、横浜流星のサプライズバースデー祝福回顧

松坂、横浜、李監督と共にした現場に対する思いを尋ねられた広瀬は「信用しきっているので。こういう場で会っても、ちょっとほっとするような(笑)。役者さん同士で、現場でもここまで、人というよりも役として、皮膚感覚で信用できるというか。すごく貴重な機会だったなと思います」と返答。

松坂は横浜の誕生日をサプライズで祝う撮影日があったと発言。このシーンで横浜は激高するよう演出されていたそうで「流星くんとはそんなに接する時間がなかったので、どんな顔をしていいかわからなくて。流星くんの役柄的には、僕のことをものすごく嫌うじゃないですけど、ちょっと距離がある役なので。『これ、殴られるのかな?』とか思いながら(笑)。思っていたんですけど、いざプレゼントを流星くんがぱって発見した時に、いつもの流星くんの笑顔になった時はすごく安心して。この3人で一緒にこれからやって、作品を作り上げるんだな・嬉しいなっていう風に思いました」と述懐した。

二人でのシーンについて広瀬は「ちょうど『流浪の月』をやるって決まった時に、たまたま別の映画で桃李さんと一緒だったんです。なのでこの一年思い続けられるなというか。どこか頭の片隅でというか….存在しているっていうのがあったので。でも実際に会うと、私的には結構辛くて。桃李さんが現場に来るだけで泣けるっていうか(笑)。テイクとか本当にご迷惑をおかけしていたんですけど、全部受け止めてくれるような」と回顧。

「リハーサルも、ちゃんと何日もかけてやるものもあれば、全然メイクとかする前に『ちょっと2時間二人であっちに時間を作っておいで』って言われて一緒にお弁当を食べたり。そういうことができたので、お芝居の不安とかは一切なかったです」とも。

松坂は「僕も広瀬さんと同じで、更紗のことを思えば思うほど胸が苦しいと言いますか。実際に会えば会うほど、抱えているものを、文にとっては物語の最後で全部を吐露するシーンがあるんですけど、そこをまだ更紗に言えない、言いたいんだけど、言ったら楽なんだろうけど、でも言ったときは言った時で怖いっていう感情もやってくるので。でも更紗とは繋がっていたいという。なかなか言葉では言い表しづらい距離というか、小さい細い糸みたいなものをずっと手に握りしめているような、そういった時間がすごく長かったですね」と語った。

今後の抱負を求められた広瀬は「また多くの方に届く、素敵な作品に参加できたらいいな、ものづくりってやっぱり楽しいなと改めて思った現場でもあったので。いろんな映画に参加できるよう頑張りたいなと思っております」と白い歯を見せていた。(modelpress編集部)

◆「第14回TAMA映画賞」各賞受賞理由

<最優秀作品賞>

・『LOVE LIFE』
平和な日常が一転し、深い哀しみやばかばかしいほどの虚しさに覆われたヒロインが、深層にあった愛を選び、踏み出していくさまは人生の本質を映し出した。

・『ハケンアニメ!』:
好きを原動力に邁進する登場人物たちと映画製作に関わった人々の情熱がリンクし、大きな共感と明日への希望を見せた。

<特別賞>

・『メタモルフォーゼの縁側』
75歳のまっすぐな「好き」と17歳の内に秘めた「好き」の響きあいが、自分らしく自由に生きる喜びを縁側のひだまりのように教えた。

・『恋は光』
独自のファンタジー世界を構築し、趣きのあるロケーションや魅力的なキャラクターを活かして、恋愛映画の枠組みを越えた作品を誕生させた。

<最優秀男優賞>

・佐藤二朗
『さがす』において、多面性のある父親役の多彩で濃淡をつけた演技は、観客を震撼させると共に感動に導き、役者としての凄みを見せた。

・松坂桃李
文という人間が抱え続けた繊細な感情の機微を零すことなく演じ、長い年月をかけた愛の灯を静かに的確に表現することで観客を物語へ引き込んだ。

<最優秀女優賞>

・倍賞千恵子
長寿が祝福されない世相においても日々の暮らしを大切に営み、人間が根源的に持つ「生」の力が何より優先することを示した。

・広瀬すず
過去の傷を背負い生きてきた更紗が愛する人との再会によって抑圧から解放され、溌剌と息づく様は燃え立つ愛の炎のように静かな美しさを放った。

<最優秀新進監督賞>

・片山慎三監督
予想できない展開のなかで命の尊厳や家族愛を描く構成力と、衝撃的なシーンや心に残るカットにより、男を狂気の沙汰に追い詰める演出力が絶妙に調和した。

・森井勇佑 監督
常識に染まる前のピュアな心を持ち、自由闊達なあみ子の視点を通して、不条理な出来事を達観して描く世界観が秀逸だった。

<最優秀新進男優賞>

・磯村勇斗
『ビリーバーズ』において、欲望との葛藤や内なる狂気を表現し、人間の振り切れるほどの幅を演じ分けられる俳優としての力量を見せた。

・横浜流星
『流浪の月』において、恋人の心が離れていると悟ったときの豹変した姿に心の闇の深さがずしりと伝わり、俳優として底知れぬスケールを感じさせた。

<最優秀新進女優賞>

・河合優実
さまざまな役柄で物語を動かす印象的な役作りを行い、洞察力・想像力に裏打ちされたメッセージを籠めた視線が観客の心を射抜いた。

・伊東蒼
『さがす』において、孤独と不安に苛まれながら思慮深さや健気さを失わず果敢に父の真実をさがし求める姿は、観客の心を強く掴んだ。

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