「すずめの戸締まり」主人公が訪れる神戸の街、新海誠監督「必然的に登場」

 公開中のアニメ映画「すずめの戸締まり」を手がけた新海誠監督が17日、神戸市内で報道陣の取材に応じた。映画には、主人公・鈴芽(すずめ)が訪れる場所のひとつとして神戸の街が描かれている。新海監督は「神戸は、物語に必然的に登場しなければいけない場所でした」と話す。

 物語は、九州から始まる。幼い頃に東日本大震災で親を亡くした高校生の鈴芽(声・原菜乃華さん)は、廃虚にある扉に鍵をかけて災いを防ぐ青年・草太(声・松村北斗さん)と出会い、四国や神戸、東京へと旅をする。

 新海監督は東日本大震災について、「自分の心が書き換わったような経験だった。住んでいる場所が明日にでもなくなってしまうかもしれない、という無常観のようなものを多くの日本人が抱いたのでは、と思う」と振り返る。

 神戸を登場させた理由は、「かつて大きな震災に遭い、乗り越えて、今は普通の生活を楽しそうに送っている人たちと、鈴芽が出会ってほしいと思ったから」だという。「必ずしも日々が順調でも平穏でもなくても、大変さを感じさせない。旅ですれ違った温かな思い出として、鈴芽の心に残る場所になるように、と考えた」

 映画のロケハンのために神戸を訪れたのは2年前。街の空気を感じながら各地を巡り、作中では、「神戸に、もしかしたらあったかもしれない場所」としてスナックや廃虚などを描いた。印象に残ったのは、神戸の人たちの言葉。「少しゆったりしていてやわらかく、隣にいて安心しそうだな、怒っていてもこちらのことを心配してくれている響きがあるな」と感じたという。

 観客に映画をどのように受け止めてもらいたいか、と聞かれ、新海監督は「作品には、うそのないメッセージを込めた。今はつらくても、数年後の自分を想像して、きっと笑っているだろう、と思うこともある。その繰り返しで僕たちは生きている。映画で伝えたかったのは、そういうことです」と語った。「うそのない鈴芽の言葉が響けばいいな、と願っています」

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