“女芸人マニア”として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから“馬鹿売れ”しそうな女芸人を紹介するこの連載。今回は、16年前の「M―1グランプリ」で決勝進出し、“史上最強のアマチュア”と言われた、伝説の女性漫才コンビを紹介する――。
現在、予選が開催されている女芸人ナンバーワン決定戦「THE W 2022」の準決勝が11月10、11日に行われます。そこまで勝ち進んでいるのが、この“究極のアマチュア”と言えるコンビです。
【プロフィル】
コンビ名‥変ホ長調
結成‥2005年9月1日
立ち位置左‥彼方さとみ
本名‥金田聡美
生年月日‥1970年4月1日
出身地‥大阪府
立ち位置右‥小田ひとみ
本名‥同じ
生年月日‥1965年2月24日
出身地‥京都府
結成2年目にして「M―1グランプリ2006」で決勝に進んだのは、もう16年前になります。この時優勝したのはチュートリアルでしたが、変ホ長調さんも「アマチュア初の決勝進出」ということで大きな話題になりました。
その後、プロにはなりませんでしたが、漫才はずっと続けられています。普段は会社員として仕事をしながらM―1にだけ参戦していましたが、2020年にM―1ラストイヤーを迎え、翌21年から「THE W」に参加されています。
プロではなく、ほかに仕事をしていながらこんなに賞レースを楽しみ、結果につなげている芸人は他にいないのではないでしょうか? 小田ひとみさんはR―1グランプリにも「O・D・A」という芸名で参加していて05、06、08年と準決勝に進出されています。
このコンビは普段、ライブにはほとんど出ていません。それでも賞レースで結果を出すのはものすごいこと。プロでもかなわないレベルです。正直言ってM―1は、プロの芸人でも避けて通りたいぐらいプレッシャーがかかる大会。それを会社勤めをしながら、毎年きちんと結果を残し続けている。私も見習いたいです。
昨年の「THE W」は、初参加ながら準決勝まで勝ち進みました。「THE W」の準決勝は2日間で1本ずつ、計2本のネタをやらなくてはなりません。昨年の変ホ長調さんは、初日はかなりウケていたのですが、2日目がハマり切らず、準決勝で敗退してしまいました。
ハマる時とハマらない時の差が激しく、安定感はありませんが、そのぶん爆発力が強いコンビです。だからこそ、ネタにうっとりしてしまう魅力があるのかもしれません。
今年の「THE W」、私は2回戦はすべて見に行かせていただきました。変ホ長調さんが2回戦に出たのは9月20日。会場は大阪の森ノ宮よしもと漫才劇場でしたが、お客さんは25人ほどしかいませんでした。
お客さんが少ないと当然、盛り上がる人数も少なくなる。大きな笑いはなかなか起きません。それなりに知名度がある芸人さんでも、あまり笑いを取れないままネタが終わっていくというケースが目立ちましたが、そうした中でも変ホ長調さんは、大きな笑いを巻き起こしました。
その笑いの量は「あれ、お客さん、50人以上いるよね?」と思えるくらい。“他を寄せ付けない”というのはこのことだと思わされました。私が見る限り、この日一番ウケていた芸人は変ホ長調さんでした。まるでM―1で決勝に進出した06年の勢いを取り戻したかのような存在感を見せつけました。
ただ先ほども言ったように、変ホ長調さんはハマる時とハマらない時がはっきりしているコンビです。今年の準決勝では、きっちり2本とも爆笑を取って、ぜひ決勝で見たいと思います。
最近では働きながら芸人をやってる人も増えてきましたが、変ホ長調さんが活動を始めたころ、そんな芸人はほとんどいませんでした。ある意味で時代を先取りしていたと言えますが、いまだに賞レースで活躍しているのはホントにすごい。これからも活躍を見させていただきたいと思います。
☆しんどう・たつみ 1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濵島英治郎。平井“ファラオ”光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」「M―1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの“女芸人マニア”。


