同作は凪良ゆうによる、本屋大賞受賞のベストセラー小説の映画化作。雨の夕方の公園で、びしょ濡れの9歳の家内更紗(広瀬)に傘をさしかけてくれたのは19歳の大学生・佐伯文(松坂)。引き取られている伯母の家に帰りたがらない更紗の意を汲み、部屋に入れてくれた文のもとで、更紗はそのまま2カ月を過ごすことになるが、やがて文が更紗の誘拐罪で逮捕されてしまう。それから15年後、「傷物にされた被害女児」とその「加害者」という烙印を背負ったまま、更紗と文は再会する。
作品にちなみ、自身の「宿命の存在」について聞かれたキャスト陣。松坂は「樹木希林さん」と回答し、「初めて主演をさせていただいた時に、おばあちゃん役で希林さんが出てくださっていて、お芝居を始めて間もない頃だったので、すごく色々言われたんですよ」と明かす。
松坂はさらに「お芝居のことから『人っていうのはね』というところに派生していって。初主演だったので番宣(宣伝)も頑張らなきゃいけないというので、僕1人で……ということだったんですけど、希林さんが『あたしも行くわ』と全部ついてきてくれたんです」とエピソードを披露。「『あんたね、しゃべる前に”ああ”とか”ええ”とか言わないの。あとね、記者の方が同じ質問しても、同じ返しなんかしちゃダメだから。毎回違う答えを出してやらないと、見ようと思ってくれないから』と、お芝居のことから人としてのこと、番宣のことまでスタンスを教えていただいて」と感謝する。
今回の作品についても「月日が流れて僕のお母さん役が(樹木さんの娘の内田)也哉子さんと決まった時に、ものすごい縁を感じまして、ちょっとゾクッとしたんですよね」という松坂。「お母さんとのシーンは僕の中でもなんともいえない感情が巻き起こってる瞬間でもあって、一言では言い表せない感情になった」と明かし、「今だったらなんて言うんだろうと思ったりします」と樹木さんに思いを馳せた。