ピース又吉「火花」から伝わる芸人特有のヒリヒリ感 芸人は辞め時が難しい…

【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。先日、行われたコント日本一決定戦「キングオブコント」でお笑いコンビ「ビスケットブラザーズ」が優勝しました。優勝賞金1000万円を手にし、見事にお笑いドリームをつかみました。

 キングオブコント、M―1と、お笑いの賞レースって一大イベントになった感がありますよね。それだけ芸人さんの地位が上がったとも言えるのではないでしょうか。芸の評価だけではなく、これまでの道のりや芸人としての人間ドラマといった裏側も報じられるようになりました。

 芸人をテーマにした映画としては「ボクたちの交換日記」(2013年)、「浅草キッド」(21年)があるんですが、今回は、17年に公開された映画「火花」を紹介します。原作は芥川賞を受賞したことで話題になったお笑いコンビ「ピース」の又吉直樹さん。監督・脚本をお笑い芸人の板尾創路さんが務めています。

 菅田将暉さん演じる若手芸人の徳永が、桐谷健太さん演じる先輩芸人・神谷の才能にひかれ、弟子入りを志願します。すると神谷から「オレの言動を書き残して、オレの伝記を作ってほしい」と頼まれるんですね。2人は別々のコンビで、それぞれに求める笑い、相方との関係、お金といった問題を抱えてるんですね。徳永は「スパークス」というコンビを組んでいるんですけど売れる気配もない。一方で芸人仲間が売れていく姿を見ると、煮え切らないイラ立ちみたいなものをすごく感じます。そんな中であこがれていたはずの神谷との関係にも変化が生じていきます。

 漫才のお芝居って難しいと思うんですけど、菅田さんと桐谷さんの演技の素晴らしさに加えて、又吉さんが芸人の裏側や会話までを実にリアルに表現してるんです。僕も芸人さんの友達がいて、いろいろなケースを見ているので、ヒリヒリするものがありました。

 芸人さんって辞め時が難しい。夢を追い続けるのか、お金や家族を理由にやめるのか。もう1つ映画にはテーマがあって「売れるとはどういうことか」。自分が面白いと思ったことで売れるのが一番いいじゃないですか。でも、自分の笑いを貫いても売れるとは限らないし、逆に自分の笑いを貫かないからこそ売れることもある。そういった問題もある。

 クライマックスで徳永がお笑いコンビ「2丁拳銃」の川谷修士さん演じる相方と漫才を披露します。演技を超えた漫才は必見です! 又吉さんが内に秘めた感情を爆発させて芸人の思いを書いたんだろうなと思います。

 今回のキングオブコントには3018組がエントリーしたそうですが、夢破れたコンビにもそれぞれのドラマがあったことでしょう。ぜひ、この作品をご覧いただいて、芸人の生きざまを感じてみてください!

☆ありむら・こん 1976年7月2日生まれ。マレーシア出身。玉川大学文学部芸術学科卒業。ローカル局のラジオDJからキャリアをスタートさせ、その後映画コメンテーターとしてテレビ番組やイベントに引っ張りだこに。最新作からB級映画まで年間500本の作品を鑑賞。ユーチューブチャンネル「有村昆のシネマラボ」で紹介している。

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