<※以下、ネタバレ有>
稀代の喜劇作家にして群像劇の名手・三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。鎌倉を舞台に、御家人たちが激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。
第38話は「時を継ぐ者」。激しさを増す北条親子による主導権争い。北条時政(坂東彌十郎)と妻・りく(宮沢りえ)は、三浦義村(山本耕史)に命じて3代鎌倉殿・源実朝(柿澤勇人)を屋敷へと連れ込み、鎌倉殿の座を娘婿・平賀朝雅(山中崇)へ譲るように迫る。対する北条義時(小栗)は息子・泰時(坂口健太郎)弟・時房(瀬戸康史)八田知家(市原隼人)らを引き連れ、時政の屋敷を包囲。攻め込む機会を慎重に見定める。張り詰めた空気が鎌倉を覆う中、政子(小池栄子)は…という展開。
「牧氏事件(牧氏の変)」(元久2年、1205年)。時政とりくは伊豆へ流罪となり、義時は父との“今生の別れ”に涙。ついに黒装束の2代執権北条義時が誕生した。
番組公式ツイッターに公開された「かまコメ(撮影直前・直後の音声コメント)」。小栗は「もうヤバかったです。段取りの時から。今までの父上との色々な関係性の上で、特に何か自分の中で(演技プランを)決めてくることはなく『飛んだ石の行方は石に聞いてくれ』というような感じで(撮影に)来たんですけど。培ってきたものとためてきたものと過ごしてきた時間と、それが全部、吐き出たかなという感じですね。しかも、ありがたいことに、このシーンが彌十郎さんと僕にとっての最後のシーンなので、これで終わりなんだなと思うと、父上と義時の関係性もそうだし、僕と彌十郎さんとしても1年以上やってきた大河ドラマで、ご一緒するシーンがこれで終わりなんだなというのと、色々ないまぜになった感じですね」と述懐した。
時政の館を包囲した際、義時は泰時に「おまえは口を出すな。口を挟まずにそこで見ていろ!太郎、これが私の覚悟だ」と語気を強めた。その後、泰時が「あんなものを見せられて、どうやって父親を敬えっていうんだ」と嘆くと、妻・初(福地桃子)は「何も分かっていない」「あんたよ」「義父上は、自分のようになるなって言いたかったの。だから、あなたを呼んだの。違う?」と説き、義父の“覚悟”を推し量った。
時政の背中を追ってきた義時。これから泰時は義時の背中に何を見るのか。