先月30日に肺がんのため死去した落語家、六代目三遊亭円楽さん(享年72)の葬儀・告別式が4日、東京都内で営まれた。人気番組「笑点」のイメージカラーだった紫の棺に納められた故人は、出囃子で出棺。家族、弟子ら5人の参列者が一礼して見送った。円楽さんの妻は「楽さん、ありがとう」と感謝し、長男の声優で落語家、会一太郎(34)は遺骨になった父を抱きしめ、「重たい」と偉大さを実感していた。
晴れ渡る秋空の下、最後の別れを惜しむ斎場から故人の出囃子が洩れ響いた。
家族葬はこの日午前9時50分から始まり、円楽さんの妻、長男の一太郎、孫、弟子ら21人が参列した。同10時57分、出囃子が流れる中、円楽さんの位牌を持った一太郎、「笑点」でおなじみだった紫の着物姿でほほ笑む夫の遺影を持った妻、故人が目の中に入れても痛くないほどかわいがった幼い孫が現れ、出棺へ。イメージカラーの紫色の布が掛けられた棺が霊柩車に乗せられると、クラクションが鳴らされ、参列者は深々と頭を下げて手を合わせていた。その後、火葬され、午後2時前に斎場をあとにした。
2016年に円楽さんが得度した群馬・前橋の曹洞宗鷲霊山釈迦尊寺の住職、山﨑奎一さん(79)が報道陣の取材に対応。「蚊の鳴くような声で読経をしました。火葬炉に(棺が)入るときは泣けた…」と45年来の友人との別れに声を振り絞った。
喪主を務めた一太郎について「気丈に務めていました。お骨を持ったときには『重たい』って言っていました」と、偉大な父と別れた息子の無念さを気遣った。
続けて、円楽さんの妻が棺の中で眠る夫に「楽さん、ありがとう。楽さん、ありがとう」と何度も声をかけていたと振り返り、「弟子もみんな『ありがとうございます』って言って、泣いていました」と懸命に感謝を伝える様子を告白。「その姿に泣かされました。私にとって(円楽さんは)青春だった。いいときもつらいときも一緒に歩んできたから」と思わず声を震わせていた。
遺骨となった円楽さんは、同2時半すぎに妻と弟子たちと〝帰宅〟。一太郎はこの日夜、自身の公式YouTubeチャンネルで父の高座をアップ。円楽さんの弟子であるタレント、伊集院光(54)が特別映像として提供した昨年6月の「一文笛」を公開し、天に旅立った名落語家をしのんだ。
★28日から追悼一門会 2009年10月29日に亡くなった五代目三遊亭圓楽さんを追悼する一門会は、今月28日から30日まで東京・国立演芸場で開催。同演芸場は28日に出演予定だった円楽さんの代役について「近々、発表します」とした。
★弟子・伊集院光が提供の特別映像公開 円楽さんの弟子でもあるタレント、伊集院光(54)が特別映像として提供した昨年6月の「一文笛」が4日夜、一太郎のYouTubeで無料公開された。
視聴者数は7900近くまで達し、コメント欄には「一太郎さん、伊集院さん、ありがとう」など、感謝の言葉であふれた。また、「六代目、お疲れ様でした」といったねぎらう声や、「円楽師匠、やっぱり生で観たかった」という早すぎる別れを惜しむ声もあった。