■不動産投資詐欺事件に石羽コンビが奔走
同作は、東大卒パラリーガルの“石子”こと石田硝子(有村)と、1回で司法試験に合格した高卒の弁護士の“羽男”こと羽根岡佳男(中村)コンビが、誰にでも起こりうる珍トラブルに挑むリーガル・エンターテインメント。
「アンナチュラル」(2018年)や「MIU404」(2020年)、「最愛」(2021年、すべてTBS系)とヒット作を生み出してきたプロデューサー・新井順子氏と演出・塚原あゆ子氏、そして二人と初タッグを組む脚本家の西田征史氏が手掛ける完全オリジナルドラマだ。
“石羽コンビ”の最初の依頼人・大庭蒼生役で赤楚衛二、そば店店員で石子に惚れている塩崎啓介役でおいでやす小田、潮法律事務所の所長で、石子の父・潮綿郎役でさだまさしが出演。
最終話は、大庭の弟・拓(望月歩)が目撃した放火事件と、大庭が名義貸しで巻き込まれた不動産投資詐欺の案件をめぐるストーリーが展開した。大庭も手伝い、事務所一丸となって証拠集めに奔走し、訴訟の準備を進めた。
■羽男の父が裁判を担当することに
法廷は羽男の父・泰助(イッセー尾形)が裁判官をすることに。その頃、石子は新証言を求めて石川県に行っていたが、まさかのトラブルで間に合わず、証拠不十分なままの羽男はしどろもどろに。そんな息子に泰助は鋭い視線を向けた。
その後、大庭が名義貸しした刀根(坪倉由幸)が放火事件の真犯人であることが判明。不動産投資詐欺についても認めたことで、裁判に勝利した。
羽男は不動産投資詐欺の裁判に勝利したあと、父・泰助と話した。泰助はほかの大きな事務所を紹介する予定をやめ、「今後一切手助けしない」と言ったが、羽男は「やっと本当の俺を見てくれた。それがうれしいです」とかすかな笑みと涙を浮かべた。去り際の「君には君のやりたいことがあるんだろ。頑張りなさい」という泰助の言葉は、羽男にとって大きなものだったはずだ。
■石子と羽男がアイコンタクトで意思疎通「最強バディ」
ただ、詐欺を計画した御子神(田中哲司)は事実無根を主張し、証拠も出なかったために捕まらなかった。
その点が心残りの石子と羽男たちだったが、事務所を訪れた相談者のポイ捨ての話をヒントに羽男があることを思い付いた。
羽男は「ちょっと時間はかかるけど…」とだけ言って、石子にアイコンタクトを向けた。すると、石子は「…なるほど!」と心得た様子。多くを語らずも意思疎通ができる“バディ”の究極のかたちだ。
視聴者からも「アイコンタクトで分かり合える石羽コンビ最高だな」「最強バディすぎる」といった声が上がった。
羽男が思い付いたのは、ヘビースモーカーである御子神を、タバコをポイ捨てした廃棄物処理法違反で逮捕することだった。御子神は「大げさすぎるでしょ」と警官に言ったが、「町弁の執念、見せてやろうか」という羽男の言葉通り、石羽コンビと大庭は1ヵ月かけて御子神を監視。53回もポイ捨てした吸い殻をすべて回収したのだった。
その逮捕がきっかけとなり、御子神は社会的信頼を失うことになった。
副タイトルの「そんなコトで訴えます?」と、法律のもとで声を上げること、まじめに生きる人々に寄り添うことが最終回まで貫かれた見事な展開となった。
■羽男が石子に告白!?
無事に町弁(地域に密着した町の弁護士という意味)としての仕事を果たした羽男は、石子と大盛りのかつ丼を食べながら、「やっぱ自分一人じゃダメだったわ」と話し始めた。不動産投資詐欺の裁判で、最初の口頭弁論のとき石子のいない状況で手に震えがきてしまっていたのだ。
羽男は石子へ「石子さんと一緒だったら2人前どころかそれ以上になれる感じがあってさ。だから…これからも俺の隣にいてください」とまるで告白のような言葉を送った。
それは相棒としての思いを込めた言葉だった。石子の返事は「お断りしま〜す」だったが、それはパラリーガルではなく、“相棒弁護士”になるため。石子は、交通事故を目撃したトラウマで司法試験に4回失敗していたが、羽男の影響もあり、最後のチャンスとなる5回目を受けることにしたのだ。
ラストは、司法試験会場に向かう石子。トラウマがよみがえり、一歩踏み出せなくなる石子の姿がモノクロの画面へと切り替わった。そこに青い傘が差しだされカラー画面に。傘を差し出したのは羽男だ。「とっとと受かってこい」との言葉に、石子は「行ってきます」と歩き出した。
秀逸な演出も見応えがあった本作。「あらゆる演出で心で納得させてくれる」「最後がよすぎた」「神演出」といった感想が。そして、「ロス」の投稿も多く、スピンオフや第2期を願う声も殺到し、Twitterのトレンド1位になった。
最終回はTVerで放送後1週間無料配信、Paraviでは全話を独占配信中。
◆文=ザテレビジョンドラマ部