今作は、醜い風貌と不遇な宿命を背負い、大衆芸能・歌謡界で悪逆の限りを尽くす主人公「鳴尾定」が、美貌の歌手「桜木輝彦」となり歌謡界を席巻するも、破滅の道へ突き進む、昭和歌謡版『リチャード三世』を演じる。タイトルに名前が入っている通り、中川へ当て書きされた今作の作・演出は『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』で中川を知り尽くした倉持裕氏が務める。
中川は役柄については「鳴尾定は、生まれつき顔も体も醜く生まれてしまった男。鳴尾一族の中でも、世間からも隠されて、暗いジメッとしたところに閉じ込められていた。そういう男が、いろいろな手段を使って、桜木輝彦という姿に生まれ変わって復讐していく。同じ人物なんですけど見た目も正反対のキャラクター」と話す。
「鳴尾定としての姿が桜木輝彦に及ぼす影響。そして、その逆。そこが、今回のキャラクターのテーマになるんじゃないかと想像している。とにかく、どれだけ定として自分の中に憎しみだったり、怒りだったり、悲しみだったりのエネルギーを溜め込めれば溜め込められるほど桜木輝彦として光を浴びたときにエネルギー源になるのでは」と役についてのイメージを口にし、抱負を語っていた。
タッグを組む倉持氏について「以前、コント番組の方でご一緒させていただいた。こうして、自分の初めての舞台で作・演出でご一緒できるとは思ってもいなかったので、うれしいです」と笑顔で語っていた。
11月6日から30日まで東京・明治座、12月8日から12日まで福岡・キャナルシティ劇場、12月17日から25日まで大阪・新歌舞伎座で上演される。
会見は、松井玲奈、福本雄樹、浅利陽介、中村中、山内圭哉、池田成志も参加した。
■あらすじ
昭和30年代の歌謡界に彗星のごとく登場し、瞬く間にスターダムに駆け上がった桜木輝彦(中川大志)。そのベールに包まれた経歴の裏側には、戦後の芸能界に君臨する「鳴尾一族」の存在があった。元映画スターの鳴尾(池田成志)が手掛ける、愛娘の一条あやめ(中村中)と愛息の鳴尾利生(福本雄樹)は、スター街道をまい進中。フィクサー・大松盛男(山内圭哉)が控え、今や世間からは、大手芸能プロダクションとうたわれていた。だが、そんな鳴尾一族にあって、存在を闇に葬られた末っ子がいた。ねじ曲がった四肢と醜く引きつった顔を持つ、鳴尾定(中川大志)。一族の汚れとして影の中で生き長らえてきた定は、闇医者の施術により絶世の美男子・桜木輝彦に変身を遂げ、裏社会でのし上がろうとするチンピラ・徳田誠二(浅利陽介)と手を組み、同じく鳴尾家に怨恨を抱くレコード会社の女社長・蘭丸杏(松井玲奈)と政略結婚し、自身の一族に対する愛の報復を始める。その血に…、運命に…、復讐を遂げるべく、桜木輝彦による唄と殺しの華麗なるショーが幕を開ける。

