有村昆「冷たい熱帯魚」なぜ人は洗脳されてしまうのか?

【ニュースシネマパラダイス】 どうも! 有村昆です。2020年に福岡県篠栗町のマンションで碇利恵被告の三男・翔士郎ちゃん(当時5歳)が餓死した事件で、保護責任者遺棄致死や詐欺などの罪に問われたママ友・赤堀恵美子被告の裁判が始まりました。ママ友という存在が母親を心理的に支配し、金銭の搾取に加え、子供を餓死させたというから驚きです。今後の裁判では赤堀被告による心理的な支配の有無が争点になると思われます。

 心理的支配、つまり洗脳ですよね。こうした事件の裏には洗脳というワードがたびたび出てきます。「なぜ人は洗脳されてしまのか」。今回は吹越満さん主演の映画「冷たい熱帯魚」を取り上げ、考察していきたいと思います。

 吹越さん演じる社本は熱帯魚店を営んでいます。娘と、再婚した妻の折り合いが悪く、自身も妻との間に軋轢(あつれき)があって冷めきった家族関係なんですね。ある日、娘がスーパーで万引をしてしまいます。窮地に陥った社本親子をスーパーの店長と懇意にしていた、でんでんさん演じる村田という男に助けてもらったことがきっかけで知り合いになります。

 村田はガハハ親父の代表格のような男で、まず娘の心をつかみ、次に奥さんもうまく自分の言うことを聞くように手なずけていきます。次第に家族は村田に取り込まれていき、社本も猟奇殺人事件に巻き込まれていくというお話なんですね。

 実は映画にはネタ元がありまして、1993年に起きた、埼玉県愛犬家連続殺人事件の犯人の男をモデルにしています。この男は詐欺師で6回の結婚と離婚をしてます。資金繰りが苦しくなると犬の繁殖ビジネスで「子供ができたら買い取るよ」と言って、犬のつがいを1000万円で売りつけるんです。だけど実際は犬の年齢が高くて繁殖能力が厳しい。そして「どうしてくれるんだよ」と言って来た時に殺しちゃう。だまして文句を言ってきたら殺すということを繰り返していたんです。

 犯人はとにかくしゃべりがうまかったようです。そして洗脳の手法としてアメとムチを巧みに使う。近寄る時はすごく面倒見がよくてフランクで距離の縮め方が早い。しかし口答えをした瞬間に急に態度が変わり、ムチが始まるワケです。

 しかも、それまでに周囲との関係を遮断しておく徹底ぶりでした。そうすることで「オレしか味方はいないだろ」と信じ込ませ、気付いた時には共犯関係になっていて、どうにもならない状況になってる。
 自分は洗脳されないと思ってる人も、一度見てみてはいかがでしょうか。

 ☆ありむら・こん 1976年7月2日生まれ。マレーシア出身。玉川大学文学部芸術学科卒業。ローカル局のラジオDJからキャリアをスタートさせ、その後映画コメンテーターとしてテレビ番組やイベントに引っ張りだこに。最新作からB級映画まで年間500本の作品を鑑賞。ユーチューブチャンネル「有村昆のシネマラボ」で紹介している。

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