第58回谷崎潤一郎賞(中央公論新社主催)の選考会が23日開かれ、吉本ばななさん(58)の「ミトンとふびん」(新潮社)が選ばれた。副賞100万円。
受賞作は、金沢、ヘルシンキ、台北など国内外の各地を舞台に、喪失の痛みを抱えて生きる人々を描いた短編集。それぞれに大切な家族を失った男女が、旅をする中で互いの悲しみに触れ、関係を深めていく姿をつづった表題作など6編を収めている。
癒やしを感じさせる作品に対し、選考会では「日常から一歩踏み出し、誰もが体験しうる死別の後の喪失感から緩やかに抜け出す姿が描かれている」などと評価された。
贈賞式は10月20日、東京都内で関係者のみで行われる。