“女芸人マニア”として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから“馬鹿売れ”しそうな女芸人を紹介する。今回は、3人の子を持つ今年35歳の既婚者と20歳になったばかりの女性という、年齢差15歳の女性コンビを紹介する――。
最近のお笑い界では、ソニー・ミュージックアーティスツ(SMA)の勢いがすごい。お笑い部門は2004年から始まったのですが、立ち上げたころは事務所に所属できないベテラン芸人ばかり所属していた印象がありました。
事務所に所属するには普通、年齢制限があるので、ある程度年齢のいった芸人は所属できる事務所がなくなってしまう。でもSMAは最初から「来る者拒まず、去る者追わず」というスタイルだったので、所属芸人がどんどん増えていったんです。
最初は売れている芸人もいませんでしたが、徐々に賞レースで結果を出す芸人が現れてきました。12年の「キングオブコント」でバイきんぐ、16年のR―1でハリウッドザコシショウ、翌17年のR―1でアキラ100%、さらに昨年のM―1では錦鯉が優勝しました。
ただ優勝したメンバーを見ても「男性のベテランばかり」という印象ですが、最近ではやす子などが活躍するなど、若手女芸人も増えてきました。その中でも気になる女芸人がこちらの方です。
【プロフィル】
コンビ名‥キャピツボ
所属‥SMA
結成‥2021年7月7日
写真右‥南見奈美
生年月日‥1987年12月9日
写真左‥山下右心房
生年月日‥2002年4月9日
進化したお笑いを分かりやすくコントで表現している2人です。キャピツボさんのネタでアンパンマンのコントがあるのですが、このコンビが演じると「脳みそパンパンマン」という、脳みそが多すぎてちょっと頭から脳みそが出てしまうヒーローものになる。ちょっとグロめですが、新しいアンパンマンができてしまいます。
このコンビがすばらしいのは一見、エッジの利いたサイコっぽいネタでも老若男女、誰にでも理解できる、分かりやすい見せ方をしてくれるところです。
芸人がネタを作る際に陥りがちなのが、自分が面白いと思っていることがお客さんに伝わっていないこと。そうなると「よく分からなかった」「芸人だけは笑っていた」という状況に陥り、お客さんを置いてきぼりにしてしまう。でもこの2人はまだ結成1年にもかかわらず、そのあたりがきちんとできています。
昨年コンビを結成した2人ですが、年齢は今年で35歳と20歳と15歳も差があります。いったいどんなきっかけで出会ったのか、聞いてみました。
「出会いはすごく今どきで、ティックトックです。ティックトックで大喜利の生配信されている方がいて、そこで最初はリスナーとして出会いました。配信がほぼ毎日のようにあったので、そこで大喜利しているうちに仲良くなっていった感じです。話をしていくうちに、お互い『お笑いをやってみたい』という思いがあることが分かったので、じゃあ組んでみようか!という流れで結成に至りました」
――南見さんは既婚者で子供が3人いますが、どうやって芸人デビューに踏ん切りをつけた?
「踏ん切りというか、小さいころの夢を今になってかなえさせてもらったといった感じです。もともと小さいころから芸人さんになってみたいなぁという憧れがあったのですが、父が大学1年の時に亡くなり、夢を追えるような状況ではなくなってしまったんですよね」
――それで夢をあきらめた?
「そこからはせっかく大学にも行かせてもらったから、就職して安定した職に就かねば!と考えて就職を選びました。その後も親を安心させたいし喜ばせたいから結婚も出産もして、普通に幸せでした」
――それでもやはり芸人に
「3人目を産んでから『やっぱりお笑いやりたいな』って感情がむくむくと顔を出してきちゃって。その時にちょうど相方と出会ってしまったんです。1人だったら挑戦できてなかった。今の活動ができているのも、相方や家族みんなのサポートがあってこそです!」
☆しんどう・たつみ 1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濱島英治郎。平井“ファラオ”光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」「M―1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの“女芸人マニア”。