企画・構成という仕事に携わって以来、いろんなライブ、コンサートを企画しては構成し開催して来た。ただ、私の場合は純粋な音楽家=ミュージシャンの方々の公演に携わって来たわけではない。そっちのことは「餅は餅屋」で専門の人たちがいる。東野ひろあきはどこにでも顔出すスタンスなのでジャンルを越えてつなげていくのが役目。演劇界もお笑い界も区別がない。
始まりは15年ほど前、紀伊國屋演劇賞など数々の賞を受賞しているベテラン俳優、大谷亮介との出会いだった。大谷さんはジャズが好きでウクレレもたしなむ方だった。「ライブやりたいなぁ、でもなかなかそういう機会がなくて」と言ってた。その頃、こちらもまた紀伊國屋演劇賞や読売演劇大賞を受賞し、今や舞台・映画・テレビなどで八面六臂の活躍中のキムラ緑子さん。彼女とは関西時代からの旧知の仲で「歌いたいわぁ、ジャズなんかをおもしろテイストで。何かやり方ないかなぁ」と呟いた。
「それなら、大谷亮介とキムラ緑子でスタンダード・ジャズのデュエットやってみようか? もちろん大人のアホアホ丸出しで」。そこからすべては始まった。2人の愛称から〝ドリー&タニー〟が生まれ、年に1度のペースでのライブは大入り満員続き。コロナ禍でしばし休んでいるが再開の時を探っている。
次に、かつてドラマ『昨日、悲別で』で鮮烈なデビューを果たし、今は舞台やCMにも引っ張りだこの俳優、天宮良と、日本を代表するコメディエンヌの小林美江によるフォークデュオ―Cheekwa(チークワ)をプロデュースしライブを重ねCDも出した。彼らもまた歌いたかったのだ。
そんな風に、純粋なミュージシャンではなくても、かなりの実力者は数多くいて、ドラマ『相棒』で名を広めた六角精児などはライブをやるたびに客席は満員だ。
俳優だけどライブもやって客席を沸かせる彼らに共通しているものがはっきりとある。それは「そっちも本気だ」ということ。遊びでやってはいない。いつもそばにいて感じるのは〝お遊びと言われたくない〟というプロ意識。だから俳優たちのライブはそんじょそこいらのミュージシャンにも負けない熱を帯びている。
もう15年も前に始めた、役者たちによる歌の祭りが久しぶりに幕を開ける。大谷亮介が、六角精児が、天宮良が、小林美江が、そしてスタンダップコメディアンとして必見・必笑のナオユキもゲストとして4月25日、東京・吉祥寺スターパインズカフェに集う。
コロナウイルス対策をとことん尽くして、それをお遊びにしてしまうのが私の役目だ。お問合わせ・ご予約は東京・吉祥寺スターパインズカフェのホームページを御覧下さい。残数わずか。乞うご期待!
■東野ひろあき(ひがしの・ひろあき) 1959年大阪生まれ、東京在住。放送作家としてテレビ・ラジオ番組の企画・構成(山寺宏一&野沢雅子のFM大阪『ニュー・ノーマル・ライフ』など)、舞台脚本(『12人のおかしな大阪人』など)や演出、ライブ企画&プロデュース、コメディ研究(著書『モンティ・パイソン関西風味』ほか)、若手育成『発想法』講義など、幅広く活動。大好きな猫にまつわるサイト運営にも力を注ぐ。ボブ・ディランをこよなく愛するアラカン・ノマド。