■慎平が神社の宮司・雁切と対峙
同作は漫画誌アプリ「少年ジャンプ+」(集英社)にて2021年まで連載され、累計1億3000万PVを獲得した田中靖規による同名漫画が原作。主人公の慎平が幼なじみ・潮の死をきっかけに、生まれ故郷である和歌山県の離島・日都ヶ島に伝わる謎の存在“影”と死闘を繰り広げ、真相を解き明かしていく。全25話、2クールかけて物語を完結まで描く。
主人公・網代慎平の声を花江夏樹、海難事故で命を落として“影”となった慎平の幼なじみ・小舟潮を永瀬アンナ、潮の妹・澪を白砂沙帆、14年ぶりに島に戻って来た女性・南方ひづるを日笠陽子、猟師・根津を浦山迅、慎平の親友・菱形窓を小野賢章、窓の妹・朱鷺子を河瀬茉希が務める。
TOKYO MX、BS11、カンテレ、九州朝日放送、アニマックス、J:テレでの放送の他、ディズニープラスにて見放題独占配信中だ。
第18話は、日都神社の宮司・雁切真砂人(CV:小西克幸)を訪ねた慎平。今と変わらない姿で雁切が写る70年前の写真を見せ、彼こそが菱形医院の初代院長・菱形紙垂彦=“シデ”であると問い詰めた。
■四本腕の大きな影、“シデ”の正体が明らかに
ひづるの想像では、近くにいるものをコピーして栄養にする宇宙の何らかの生命体が地球へとやって来て、300年前にクジラに変身して島に漂着。そのクジラが猟師の娘だった波稲をコピーしたのが、島に伝わる“影”の病の始まりだと考えられた。
そして、慎平が真砂人に会う前、窓の父・青銅(CV:大塚明夫)の告白により、島唯一の病院を営む菱形家と、神社の宮司として祭祀を取り仕切る雁切家のつながりが明らかにされていた。
コピーされて島民に神として祀られるようになったハイネの夫となった紙垂彦の間に子どもが生まれ、紙垂彦は雁切を名乗るようになり、紙垂彦の兄によって菱形家は医者の家系になった。ハイネの子どもは“影”の性質なのか、父のクローンとしてそっくりに成長。それを見た紙垂彦は、ハイネに自分の人格と記憶をコピーさせてクローンに移植することで若返りという欲望を実現したのだった。
“シデ”は自分を生んだハイネに自分を生ませ続けることで、300年前からずっと生きてきたのだ。
■邪悪さがにじみ出る声優・小西克幸の名演に震える!
クジラが漂着したのは江戸時代で、ちょうど享保の大飢饉が起きたときだった。島民を“影”に変えたことで「“影”やったら猟師でなくても魚が獲れる。飢えた人を救うことができる。日都ヶ島が今あるのは私のおかげなんですよ」と語った紙垂彦。慎平の両親を殺したことも明かした。
人と“影”のハイブリッドであるシデ。慎平は明かされる事実に憤りつつも、目の前の真砂人は紙垂彦でありシデなのだが、人間でもあることで殺害をためらう。そんな緊迫シーンが続き、“影”潮がたまらず紙垂彦の頭を真っ二つに切り裂くが、紙垂彦がもう一人現われるという驚がくの展開となった。
ためらいと驚きを表現する花江。対して、正体を突き止められ、物腰柔らかな真砂人の話しぶりから、紙垂彦、シデへと豹変していく演技を見せた小西。紙垂彦の不気味な表情を表した作画と相まって、邪悪さがにじみ出るような名演技で背筋がゾクゾクする怖さだった。
潮を演じる永瀬は、放送後に自信のTwitterで、花江と小西と一緒だった本話のアフレコ現場が緊張感に包まれていたことを四コマの絵で紹介した。
また、エンディングのキャストクレジットで、これまでモザイクだったシデの欄が、モザイクがはがれて小西の名前が現われる粋な演出がされ、視聴者から「エモい」「オシャレ」といった声が上がった。
◆文=ザテレビジョンアニメ部